住友不動産が「オフィス空室」に一喜一憂しない訳 「売却しない」独自の成長哲学を副社長に聞く

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売却益で早期に資金回収を図るプレーヤーも多い中、開発したビルをほとんど外部に売却せずに成長を図ってきた住友不動産。その背景とは。

東京都心に230棟超ものオフィスビルを抱える、不動産業界随一の「大家」だ(記者撮影)

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大手デベロッパーの中でも、異色の経営哲学を掲げる住友不動産。物流施設など多角化路線を掲げる同業他社を尻目に、賃貸オフィスビルの開発に経営資源を集中。開発した物件は外部にほとんど売却せず、自社保有で賃料を享受し成長を遂げてきた。
5月に発表した中期経営計画でも、3年間でオフィスビルなど賃貸資産を19万坪を開発すると標榜した。コロナ禍でのオフィス戦略やESG(環境・社会・ガバナンス)投資について、尾台賀幸代表取締役副社長に聞いた。

ハコモノで利回りを稼ぐ時代じゃない

――5月に発表した新中計では2024年度までの3年間累計で営業利益7700億円を稼ぐ目標ですが、コロナ禍はもう底を打ったのでしょうか。

事業環境の不透明感はこれまでよりも強くなる。コロナ禍の収束は見通せないし、地政学リスクで資源価格の高騰や供給網の混乱もある。

だが、2008年のリーマンショックの時とは異なり、すべての需要が一斉に減退するようなことは起きていない。だから大崩れすることはないな、と。当社もコロナ禍の影響を受けたが、2021年度は増益を達成した。(新中計の計数目標は)次も頑張ろう、という決意表明だ。

――「頑張る」とは何を?

商品力を磨いて頑張る。資材の調達を工夫してコスト削減を頑張る。営業も頑張る。中計には「グループの総合力で目標達成を目指す」と書いたが、いわば総力戦ですよ。

――足元は空前の低金利が追い風です。住友不動産の業績も、例えば1996年度は営業利益322億円に対して、支払利息として296億円が流出していました。それが直近の2021年度では、営業利益が2338億円と7倍以上になった一方、支払利息はわずか180億円です。

昔から不動産業にとっての最大のコストは金利だと言われてきた。ところが今や、最大のコストは人件費になった。構造が変わってきている。

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