売却益で早期に資金回収を図るプレーヤーも多い中、開発したビルをほとんど外部に売却せずに成長を図ってきた住友不動産。その背景とは。
ハコモノで利回りを稼ぐ時代じゃない
――5月に発表した新中計では2024年度までの3年間累計で営業利益7700億円を稼ぐ目標ですが、コロナ禍はもう底を打ったのでしょうか。
事業環境の不透明感はこれまでよりも強くなる。コロナ禍の収束は見通せないし、地政学リスクで資源価格の高騰や供給網の混乱もある。
だが、2008年のリーマンショックの時とは異なり、すべての需要が一斉に減退するようなことは起きていない。だから大崩れすることはないな、と。当社もコロナ禍の影響を受けたが、2021年度は増益を達成した。(新中計の計数目標は)次も頑張ろう、という決意表明だ。
――「頑張る」とは何を?
商品力を磨いて頑張る。資材の調達を工夫してコスト削減を頑張る。営業も頑張る。中計には「グループの総合力で目標達成を目指す」と書いたが、いわば総力戦ですよ。
――足元は空前の低金利が追い風です。住友不動産の業績も、例えば1996年度は営業利益322億円に対して、支払利息として296億円が流出していました。それが直近の2021年度では、営業利益が2338億円と7倍以上になった一方、支払利息はわずか180億円です。
昔から不動産業にとっての最大のコストは金利だと言われてきた。ところが今や、最大のコストは人件費になった。構造が変わってきている。
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