任天堂創業家はなぜ中堅ゼネコンに買収を提案したのか?異例のTOB攻防戦には意外なつながりがあった。

中堅ゼネコンのTOB(株式公開買い付け)にまさかの任天堂創業家が介入。異例の株式攻防戦が繰り広げられている。
前田建設工業を傘下に持つインフロニア・ホールディングスは5月20日、東洋建設へのTOBが「不成立に終わった」と発表した。インフロニアは持ち分法適用会社である東洋建設の完全子会社化を目指し、2022年3月からTOBを実施していた。
東洋建設は海洋土木に強いマリコン大手だ。2003年に不動産開発事業に失敗したことで債務免除を受け、前田建設から増資を得て経営再建を図ってきた。一方、インフロニアは今後の経営戦略として、インフラ運営事業などを強化する「脱請負」を掲げている。
東洋建設を完全子会社化することにより、脱請負路線での連携を密にし、洋上風力分野などでシナジーを創出する目論見だった。
蜜月関係に突然介入
ところが、蜜月関係のインフロニアと東洋建設の間に第三者が介入してきた。任天堂創業家の資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)」が、TOB期間中に市場で東洋建設株を買い集めたのだ。5月17日にはYFOの持ち株比率は27%を超過した。
こうした経緯もあり、東洋建設の株価はTOB価格(770円)を上回って推移し、TOB成立に必要な応募数が集まらなかった。
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