2020年10月に調布市で起きた陥没事故に続き、外環道の工事で前代未聞の事故が発生した。ミスにミスが重なるお粗末な実態が判明しつつある。
「こんな事故、聞いたことがない」
ゼネコン関係者が一様に首をひねる、前代未聞のトンネル工事の事故が起きた。
国土交通省と東日本高速道路(NEXCO東日本)は4月、東京外かく環状道路(外環道)工事の「大泉ジャンクション(JCT)~東名JCT」区間におけるトンネル工事で、シールドマシンの損傷により工事が停止したことを発表した。
外環道の工事をめぐっては、2020年10月に調布市で掘り進めていたトンネルの地表で陥没事故が発生し、工事がストップしていた。外環道は2022年2月から工事が再開されたものの、大泉側本線トンネル(南行)の区間で今回事故が起きたことで、わずか2カ月で工事がまたもやストップする異例の事態となった。
工事再開は早くても9月以降に
大泉JCT~東名JCT間は、東京都の西側エリアを南北に走る16.2キロの高規格幹線道路で、大深度地下使用法の適用を受け、地下40メートルよりも深い位置にトンネルを設置する。今回事故が起きたのは、大泉ランプと本線トンネルが合流する区間だった。
スーパーゼネコンの清水建設を中心とするJV(共同事業体)が工事を請け負っていたが、掘進していたシールドマシンの前面のカッターが鋼材に接触し、カッタービット(刃)や土を攪拌(かくはん、かき混ぜること)する部品が損傷した。シールドマシンの補修に6カ月かかるため、工事再開は早くても2022年9月以降となる。
国交省によると、地下での止水を目的とする地中壁の位置が、設計上の正しいトンネルの中心部よりも下方に約90センチ、水平方向に約10センチ、それぞれずれていたために事故が起きたという。シールドマシンは本来、柔らかい硬質ウレタン製の地中壁を貫通させなければならなかったが、中心部がずれていたため、周囲に設置されていた鉄筋で補強されたコンクリートに接触してしまったという。
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