リニア工事に適用される大深度法の虚構と現実 新幹線開通に立ちはだかる「もう1つの懸念」

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調布の外環道陥没事故を受け、JR東海が進めるリニア中央新幹線工事への住民の不信感が高まっている。

リニア新幹線の北品川非常口立坑。ここから間もなく、試験掘進が始まる(撮影:尾形文繁)

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「調査掘進(調査のための掘削)といいながら、工事を実際に始めて既成事実化しようとしている」

8月27日、JR東海が都内で開いたリニア中央新幹線の住民説明会で、参加者から怒りの声があがった。この説明会でJR東海は初めて、2021年度中に北品川非常口立坑から300メートルほどの長さの調査掘進を始めることを明らかにした。

JR東海によると、調査掘進によって新たに施した安全対策が機能しているのか否かや、地下水の影響や振動などの有無を確認するという。しかし、住民はこの調査掘進が事実上、都市部でのリニア工事が着工になるとして猛反発している。

使い勝手のよい大深度法

2020年10月に東京都調布市で発生した東京外かく環状道路(外環道)工事の道路陥没事故。この工事は、土地所有者の同意や補償が原則不要で地下工事が可能となる「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」(大深度法)を適用したものだった。

リニア工事も同法の適用を受けており、調布市の陥没事故を受け、リニア沿線住民の大深度地下工事への不信感が高まっている。住民への説明は「デリケートな問題」(JR東海関係者)になっているのだ。

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