東京地裁が画期的な決定を出した。東京外環道の地下トンネル工事に絡み、一部工事の差し止めを命じたのだ。決定の意義は何か。
国内のインフラ構築に一石を投じる司法判断が出た。
東京外かく環状道路(外環道)の地下トンネル工事に絡み、2020年10月に陥没事故が起きた東京都調布市の住民らが工事差し止めを求めた仮処分について、東京地裁は2月28日、「具体的な再発防止策が示されていない」として一部工事の差し止めを命じる決定を下した。
原告代理人の武内更一弁護士は、「決定は画期的。工事の危険性が認められ、裁判所が違法な工事だと認めたことは大きい」と話している。
「工事再開は違法」と判断
東京地裁は今回の決定で工事の危険性を認め、「東名立坑発進に係るトンネル掘削工事において、気泡シールド工法によるシールドトンネル掘削工事を行い、または第三者をして行わせてはならない」「工事を再開することは違法」と結論づけた。
国土交通省や東日本高速道路(NEXCO東日本)などが進めるこの工事は、関越自動車道の大泉ジャンクション(JCT)と東名高速道路・東名JCTを結ぶ16キロを地下40メートル以深の大深度地下トンネルでつなぐものだ。大泉JCT側、東名JCT側からそれぞれ南行き、北行きの2本のトンネルを掘り進み、東京都武蔵野市の井の頭通り付近の地下で接合させる計画だ。
今回の決定は、そのうち東名側から井の頭通り付近まで(以下、工事差し止め区間)の工事を差し止めるものだ。今回の決定が覆らない限り、工事差し止め区間は同じ工法で工事ができなくなる。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら