2020年10月に東京外環道工事で起きた陥没事故。被害が予想以上に広がっている可能性が高いことが専門家の調査で明らかになった。
2020年10月に東京・調布市の住宅地で陥没事故を起こした東京外かく環状道路(外環道)工事について、シールドトンネル工事の直上部(真上)の周辺エリアでも、広範囲にわたって地盤にゆるみが生じている可能性が高いことが、専門家の調査によって判明した。
周辺エリアを対象に「ミニラムサウンディング」(小型動的貫入試験)と呼ばれる簡易的なボーリング調査を実施した芝浦工業大学の稲積真哉教授(地盤工学)は、「地盤のゆるみはトンネルの真上の部分に限られているという、東日本高速道路(NEXCO東日本)の主張には誤りがあることが数値によって明らかになった。地面に映像装置を入れて調べてみたところ、無数の空隙も見つかった」と指摘。
そのうえで、「周辺エリアについても、被害の程度に応じて地盤の補修が必要。それをせずに放置した場合、度重なる大雨や地震などをきっかけにして、宅地の陥没、門扉の倒壊などの被害が起こりうる」と警鐘を鳴らしている。
「家中が傷だらけになっている」
「自宅のあっちもこっちもひび割れだらけ。しかも、ひび割れはどんどん広がっている。この先、何が起きるのか。考えるだけでも恐ろしい」
シールドトンネルの直上部から小さな川をはさんで10メートル弱離れた周辺エリアにある河村さんの自宅では、玄関先などに敷き詰められたコンクリートや家の基礎部分など、あちこちにひび割れが生じている。河村さんによれば、「たくさんのひび割れが現れたのは、2020年9月にシールドマシンが近隣の地下で掘削工事を始めた後のこと。それ以来、ひび割れは広がる一方で、家中が傷だらけになっている」という。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら