外環道の陥没事故を地盤工学の専門家はどう評価しているのか。日本大学理工学部の鎌尾彰司准教授に聞いた。
事故現場は特殊な地盤だった
――外環道の陥没事故を受け、リニア沿線の住民からも不安の声が聞かれます。外環道事故の有識者委員会の報告では、陥没現場は特殊な地盤であり、そこで作業ミスが重なったと結論づけました。第三者の専門家から見て、なぜ特殊地盤を見抜けず、作業ミスまで起こったと考えますか。
調査報告書が事故現場の地盤を「特殊」だというのは、砂の粒子よりも小さいシルトや粘土の粒子が含まれない砂の層だということを言っている。事故が起きた場所は多摩川に近く、地下水の流れも豊富で、粒子の小さいシルトや粘土の粒子が砂の粒子の中を流れてしまったせいなのか、それ(シルトや粘土)が(見当たら?)ない。
砂は握っても固まらない。作業ミスによる土砂の取り込みすぎで、ぎゅっと押さえ付けられていた硬い砂が解放されて地盤の緩みが上方に拡大し、連鎖反応が起きて陥没や空洞ができた。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら