大林組が挑む「触覚持つ建設ロボット」の生産革命 世界初、メタバース関連技術を建設作業に応用

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メタバース普及のカギを握るリアルハプティクスという触覚技術が、建設業界の生産性を一新する可能が出てきている。

大林組と慶應義塾大学が共同開発した建設重機。触覚技術を利用しており、機械の先端で繊細な動きを可能にする(大林組提供)

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メタバース(仮想空間)普及のカギを握る先進技術が、建設業界の課題解決の武器となる可能性が出てきた。

スーパーゼネコンの大林組は慶應義塾大学と共同で、離れた場所に置いた2台の装置で作業員が力の感覚を共有し、現場にいなくても左官作業ができるリモート左官システムを開発した。

左官作業はモルタル(セメントに水、砂を混ぜ合わせて作る材料)の硬さや重さをテコで感じながら建築物に塗っていく。この職人の技が求められる特殊な技術について、モニターを使った視覚情報と「リアルハプティクス」(以下、ハプティクス)と呼ばれる触覚技術を用いることで、遠隔作業を可能にした。厚さ1ミリメートル以下の精度でコテの動きを再現できる。2021年9月には500キロメートル離れた大阪と埼玉での遠隔操作の実証実験に成功した。

今までのロボットになかった「触覚」

「触覚技術を用いて、リアルタイム、かつ遠隔で操作できるこのようなシステムは世界中のどこにもない。もちろん、国内建設業界でも初めての技術になる」。大林組ロボティクス生産本部の中島康弘担当部長は、こう胸を張る。

大林組が採用した触覚技術のハプティクスは、デバイスなどを通じて、手触りや体に受ける衝撃などの触覚を「仮想現実空間や遠隔で」体験できる技術だ。コンテンツの世界に入り込む没入感が高まるため、メタバースの普及を後押しする技術と言われている。

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