建設業界の頂点に君臨するスーパーゼネコンではなく、下流に位置する建材商社がデジタル技術を活用した新システムで業界に革命を起こそうとしている。縮小均衡が懸念されるレガシー産業で、「下克上」を果たせるか。
変革が乏しいとされてきた建設業界において、商流の下流から変革を起こそうとする動きが顕在化している。
2022年12月5日。東京ビッグサイトで開催された第2回建設DX展。その入り口近くに構えた野原ホールディングス(HD)のブースには、建設会社の関係者と思われるスーツ姿の人たちが詰めかけていた。野原HDはセメントやガラスといった建設材料を扱う建材商で、江戸時代の慶長3年(1598年)に創業した老舗企業だ。
「そういう時代になるんだな」。展示会で野原HDの社員によるプレゼンテーションに耳を傾けていた建設会社のベテラン社員は、そうつぶやいた。
設計データを建設プロセス全体に行き渡らせるシステム
野原HDが展示会で提示したのは、設計データを建設プロセス全体に行き渡らせるシステムだ。同社は「BuildApp(ビルドアップ)」と名づけたこのシステムについて、2021年12月に構想を発表し、近々正式版を投入する。
スーパーゼネコンが持つBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング、3次元の建設情報モデル)のデータを設計段階だけでなく、施工現場まで活用できるレベルに詳細化、工事の業務効率化を図り、無駄な廃材の発生を抑えることができる。
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