「レガシー産業」と表現されるゼネコン業界。異業種の参入、アライアンス、M&Aによる再編が進む中、今度こそ変われるか。
レガシー産業──。マリコン(海洋土木)大手の東洋建設に対して買収提案をしている任天堂創業家の資産管理会社、ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)は、ゼネコン業界のことをそう表現する。
バブル崩壊や世界金融危機で傷を負ったゼネコンが、他社の資本支援を仰いで再編されるケースこそあったものの、業界構造を大きく変化させるまでには至らなかった。
江戸期や明治期に創業したスーパーゼネコン5社(大林組、鹿島、清水建設、大成建設、竹中工務店)を頂点に、全国展開する準大手・中堅ゼネコン約50社が連なり、地方ゼネコン約2万社がそれを支える構造は昔のまま。「スーパーゼネコンは5社も必要ない」(準大手ゼネコン幹部)といった指摘がなされて久しいにもかかわらずだ。
90年代から変わっていない
体質も同様だ。「受注がすべてで、たとえ赤字案件であっても平気な顔で大型工事を取りに行く。1990年代から何も変わっていない」と、あるゼネコン首脳は嘆く。
一時、周辺業界からの参入も見られた。例えば2013年には大和ハウス工業が準大手ゼネコンのフジタを完全子会社化。17年には住友林業が、1893年創業の名門、熊谷組に20%出資した。だがこうした動きは、大きな再編につながらなかった。
その理由について複数の業界関係者は、「合併すると1+1が2になるのではなくて1のまま。単純に入札機会が減るだけという意識が根底にあるからだ」と明かす。
しかし、今回の特集でも見てきたとおり、ここにきて一気に流れが変わり始めている。
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