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清水建設トップが憂う建設業の「2024年問題」 受注競争の激化と残業時間の新規制が直撃

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清水建設は「利益率の低下」と「残業労働の上限規制」という二大難局にどう立ち向かうのか。

清水建設の井上和幸社長は、「2024年に導入される建設業の残業労働の上限規制を見据えた施工体制、管理体制に挑戦していかなければならない」と説く(撮影:尾形文繁)

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建設需要は旺盛だが、1案件あたりの工事が大型化し、受注競争が激しくなっている。採算低下に苦しむ大手ゼネコンは多い。
この波にスーパーゼネコンの清水建設ものまれている。東京の麻布台、日本橋、豊洲で大型工事を次々と進め、日本一高いビルとなる「Torch Tower(トーチタワー)」(2027年度竣工予定、JR東京駅前)の受注の優先交渉権も獲得した。
だが、前2021年度業績は売上高1兆4829億円(前期比1.8%増)、営業利益451億円(同54.9%減)と大幅減益に。今2022年度も売上高1兆9600億円(前期比32.2%増)、営業利益715億円(同58.4%増)と利益ベースで回復基調にあるものの、利益率は3.6%と2年前の6.8%には大きく届かない。
この先、建設投資が先細る懸念がある。しかも建設業界では、2024年4月に残業労働の上限規制(特別の事情がない限り月45時間、年360時間の時間外労働が上限というルール)が適用され、労働力の確保が課題になる。
待ち受ける難局をどう乗り切るのか。清水建設の井上和幸社長に聞いた。

需要は再開発など堅調

――国内市場の見通しは?

足元も活発に動いているし、当面は大きく落ち込むことはないだろう。

建築の分野では首都圏を中心に大型の再開発案件が豊富だ。カーボンニュートラルや再生可能エネルギー対策などの必要性が増していることを背景に、メーカーの研究開発施設や半導体工場、物流施設といった工事も増えている。

政府の国土強靭化策も継続している。自然災害対策として国土の安全のためにインフラの整備は欠かせない。土木工事も底堅く推移していきそうだ。

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