既存の柱である建設分野に加えて、「非建設」分野の強化を狙い、業界再編に乗り出す企業が増えている。
中堅ゼネコンの幹部は一瞬、耳を疑った。
「1億円の工事代金では、とても請け負えません。あと2000万円上乗せしてくれませんか」。下請けの専門業者が昨今の資材高を理由に、工事代金の引き上げを求めてきたのだ。このような事例は、過去にほぼない。
足元の建築資材価格は2021年1月と比べて2割上昇。中でもビルなどの大型建築に使われる異形棒鋼がこの1年で40%値上がりするなど、資材が高値圏で推移し工事採算を圧迫している。ゼネコンにとって苦しい状況だ。が、発注元である大手デベロッパーにスライド条項(物価の変動などによる請負代金額の変更)の適用を要求しようにも、交渉のテーブルにさえ着けないことが多い。
「われわれのスライド条項の要求は、立場の強い発注元から認められない。にもかかわらず、われわれより立場が弱いはずの下請け業者はスライド条項を求めてくる。今年4月以降、こういうケースが増えている」。中堅ゼネコン幹部は、そう言ってため息をつく。
変わらない過当競争
「建設業界はこの先、氷河期に入る。業者数が減らない限り、ゼネコンが生き残っていくのは厳しい」。ゼネコン業界のご意見番として知られるインフロニア・ホールディングスの岐部一誠社長は、業界の行方をそう見通す。
約47万社もの業者がひしめき、建設投資およそ60兆円のパイを食い合う過当競争の構図は長年変わっていない。
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