有料会員限定

「転換期を迎えるゼネコン」で進む新たな再編の形 国内市場の先細り見据えて食いぶちの確保急ぐ

✎ 1〜 ✎ 10 ✎ 11 ✎ 12 ✎ 最新
拡大
縮小

既存の柱である建設分野に加えて、「非建設」分野の強化を狙い、業界再編に乗り出す企業が増えている。

特集「ゼネコン 両利きの経営」の他の記事を読む

中堅ゼネコンの幹部は一瞬、耳を疑った。

「1億円の工事代金では、とても請け負えません。あと2000万円上乗せしてくれませんか」。下請けの専門業者が昨今の資材高を理由に、工事代金の引き上げを求めてきたのだ。このような事例は、過去にほぼない。

足元の建築資材価格は2021年1月と比べて2割上昇。中でもビルなどの大型建築に使われる異形棒鋼がこの1年で40%値上がりするなど、資材が高値圏で推移し工事採算を圧迫している。ゼネコンにとって苦しい状況だ。が、発注元である大手デベロッパーにスライド条項(物価の変動などによる請負代金額の変更)の適用を要求しようにも、交渉のテーブルにさえ着けないことが多い。

「われわれのスライド条項の要求は、立場の強い発注元から認められない。にもかかわらず、われわれより立場が弱いはずの下請け業者はスライド条項を求めてくる。今年4月以降、こういうケースが増えている」。中堅ゼネコン幹部は、そう言ってため息をつく。

変わらない過当競争

「建設業界はこの先、氷河期に入る。業者数が減らない限り、ゼネコンが生き残っていくのは厳しい」。ゼネコン業界のご意見番として知られるインフロニア・ホールディングスの岐部一誠社長は、業界の行方をそう見通す。

約47万社もの業者がひしめき、建設投資およそ60兆円のパイを食い合う過当競争の構図は長年変わっていない。

次ページ長年変わらない過当競争の構図
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
ゼネコン 両利きの経営
不動産シフトでもくろむ「非建設分野」の強化
狙うはビル木造化、再エネ、環境配慮コンクリ
工事費の増加分は発注者側もリスク分担を
任天堂創業家に「会う予定は現時点ではない」
インフラ事業の黒子、子会社の秘められた正体
受注競争の激化と残業時間の新規制が直撃
市場が懸念する「再開発」と「SEP船」の行方
「関西や木造に強い」中堅以下の買収を渇望
「5つの指標」で厳選、独自ランキングを一挙公開
福島や宮城など東北でも倒産が増加傾向に
国内市場の先細り見据えて食いぶちの確保急ぐ
異業種の大手企業が建設市場に見いだす鉱脈
東洋建設関係者は提示された経営方針に失望
鹿島・竹中・清水建設が幹事、技術革新起きるか
DCに巨額投資も、本音は「恐る恐る参入」
危機の教訓を経て、提案力が必要な時代に
売上高1兆円に向け、戸建て販売を軸に急成長
地域別・経営の危険度が高い建設会社はここだ
新風で「レガシー産業」は今度こそ変われるか
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内