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大林組社長激白「資材高」が浮き彫りにした難題 工事費の増加分は発注者側もリスク分担を

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資源高という建設業界を襲う難局をどう乗り切るのか。大林組の蓮輪賢治社長が今後の戦略を語る。

大林組の蓮輪賢治社長は工事請負の契約約款見直しの必要性を指摘(撮影:今井康一)

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建設工事の受注採算低下や資材高、慢性的な人手不足など逆風が吹き付けるゼネコン業界。特に、資材高の影響は深刻で、異形棒鋼がこの1年で40%値上がりするなど、資材の多くが高値圏で推移し企業業績を圧迫する要因になっている。
今後の事業環境のさらなる厳しさをにらみ、M&A(企業買収・合併)や異業種との提携に踏み込むゼネコン大手も出てきた。
かねてから、異業種を含めた緩やかなアライアンス(提携)に前向きな姿勢を見せていたスーパーゼネコンの大林組は、この先の難局をどう乗り切るのか。大林組の蓮輪賢治社長を直撃した。

物価の乱高下に取り決めがない

――資材高の影響が深刻です。

物価の高騰や円安などにより資材が高値圏で推移し、企業業績に大きく影響している。建設業のみならず社会全体の経済を取り囲む環境が大きく変わってきているので、先行きが見通しにくい状況だ。

ただ、直接的な影響よりも、今回の物価高は建設業界の課題も浮き彫りにした側面があることを指摘しておきたい。
  
 請負事業者の契約約款には、スライド条項(物価の変動などによる請負代金額の変更)について、厳格な取り決めがない(編集部注:民間建築工事では資材高などによる費用増は請負事業者が基本的に負担する慣習になっている)。

一部の諸外国では建設を発注した側も物価高騰というリスクを抱えていて、発注者と受注者との対等な立場で物価変動リスクを契約の中に織り込んでいる。物価の高騰時だけではなくて、下落時も含めて、物価の乱高下にどう対応して、リスクヘッジしていくかは、請負側だけの問題ではなく、発注者側にも考えてほしい問題だ。

――具体的にはどうやってリスクヘッジしていくのでしょうか?

次ページリスクヘッジの具体策とは?
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