2029年までに100物件超の開発・建替を行い、同業大手に肩を並べる利益規模への成長を狙う。その具体的方策とは。
2021年は「リクルート銀座8丁目ビル」に「電通本社ビル(汐留A街区不動産)」、2020年は「日本ヒューレット・パッカード本社ビル」に「ティファニー銀座ビル」。大型ビルを次々取得し業界内外にその名をとどろかせているのが、ヒューリックだ。
物件の買いだけでなく売りも盛んで、2021年12月に東京都港区の「赤坂スターゲートプラザ」を424億円で売却。前述の日本HP本社ビルも、2021年6月に388億円で売却している。
さながら不動産ファンドのごときビル売買を展開する同社だが、目下の関心は別にある。「開発や建て替え(による賃料収入)をメインに成長していく」。2022年3月、ヒューリックの社長に就任した前田隆也氏はそう強調する。
大手デベロッパーも「射程圏」に
前田社長は大手ゼネコンの大成建設出身で、2007年のヒューリック入社以来一貫して不動産開発に従事してきた。長らく銀行出身の社長が続いた同社として、開発畑の社長は異例だ。「(不動産開発で成長するという)メッセージが込められている、と考えていただいていい」(前田社長)。
同社は2029年までにオフィスビルなど「100物件」を開発する、あるいは建て替える計画を掲げている。旅館や老人ホームなども含めれば、120物件規模に膨らむ公算だ。
「水物」である不動産売却益への依存度を下げつつ、市況変動に強い賃貸収入を増やすのが狙いで、2021年12月期に1095億円だった経常利益を2029年に1800億円へと拡大させる。
実現すれば利益ベースで、三井不動産や三菱地所、住友不動産などの大手デベロッパーとも肩を並べる野心的な目標だ。
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