成長の種となる物件取得が困難を極める昨今の不動産業界。他社を尻目に快走するヒューリックの「買う力」の源泉とは。
「予算はあるが、競争が激しくてなかなか買えない。いい物件があったら紹介してほしい」。ある不動産ファンドの幹部はそうこぼす。幹部の言葉が象徴するように、昨今の不動産業界は売り手市場にある。
賃貸や建て替え、転売など出口戦略は多々あれど、物件が取得できなければビジネスにならない。近年は外資系ファンドも相次いで上陸し、「物件を売るより買うほうが難しくなっている」(前出のファンド幹部)。
難儀する他社を尻目に、着々と物件を買いあさるのがヒューリックだ。
競争入札で無理せず「交換」を重視
2022年の投資計画の達成について、ヒューリックの前田隆也社長は自信をのぞかせる。「3分の1は投資先が決まっている。契約には至っていないが、買えそうな物件まで含めれば半分は見えている」。
同社は「ネット投資」と呼ぶ、物件の取得額から売却額を差し引いた数値を経営指標の1つとしている。2022年の不動産売買におけるネット投資計画は3340億円だが、売却額を差し引かない純粋な投資額では「7000億円水準と推測される」(SMBC日興証券の田澤淳一シニアアナリスト)。この金額規模は三菱地所にも肩を並べる水準だ。
「物件情報は月に400~500件、年間では5000件ほど来ている」。ヒューリックで物件売買を統括する屋嘉比(やかび)康樹副社長は打ち明ける。
銀座や渋谷といった重点エリアを中心に、クライテリア(投資判断基準)と照らし合わせ具体的な検討を進めるのは、年間150~200件。さらに決済まで至るのは40~50件だという。
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