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鉄道系「老舗ホテル」が外資に次々売却される必然 インバウンドの回復をにらみ「買収合戦」が加速

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鉄道会社が保有する”虎の子”ホテルが相次いで放出されている。受け皿となっている外資系ファンドの間では、案件獲得競争が急加熱する。

京都駅前の一等地に立つ「都ホテル 京都八条」を含む8物件をアメリカの投資ファンドのブラックストーンが推定約600億円で取得した(写真:時事、近鉄グループホールディングス)

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「日本のホテルは海外投資家から人気だ」。都内で海外投資家向けに不動産取引のアドバイザリー業務を行うポスト・リンテルの許斐茜取締役はこう話す。「訪日外国人の流入が復活すれば、ホテル需要は戻る。回復が見込める資産に投資しない手はない」。

同社は2022年3月、新宿区内のビジネスホテルの売買を支援した。売り手は国内のデベロッパー、買い手は香港のファミリーオフィス(富裕層の資産管理会社)だ。

「みんなホテルを物色している」

「みんなホテルを物色している。今から行列に並んでも、買えないかもしれない」。コロナ禍当初の2020年春、不動産ファンドのある幹部からこのような発言が飛び出した。コロナ禍が収束し、人流の制限が緩和され往来が復活すれば、ホテルの稼働は元に戻る──。そう確信した投資家たちが、一斉にホテルを買いに走った。

2021年11月には、香港のファンド、ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア(BPEA)が、東京建物から大阪市内のホテルを取得した。客室数300超の大型ホテルだが、取得当時は休館中。BPEAは運営会社を変更し、2021年12月に営業を再開させた。やはり、コロナ収束後の訪日外国人の復活を見込んだ動きだ。

あまたあるホテル取引の中でも、とくに耳目を集めたのは鉄道会社の保有物件をめぐる大型取引だ。近鉄グループホールディングス(GHD)、西武ホールディングス(HD)、そして小田急電鉄。いずれも保有ホテルの売却に踏み切り、買い手は軒並み外資系だ。

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