有料会員限定

不動産ファンドの稼ぎ方、「定番4類型」で読み解く ハイリスク&ハイリターンから安定志向まで

✎ 1〜 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 16 ✎ 最新
拡大
縮小

同じ不動産でも、ファンドとデベロッパーでは取得を目指す物件が異なる。彼らのビジネスモデルの違いを解説していく。

不動産ファンドには投資の目的によって4つの投資スタイルがある(写真:nespix / PIXTA)

特集「不動産争奪戦」の他の記事を読む

名前は聞くものの、実態が見えづらい不動産ファンド。彼らがどのようにして不動産に投資しているかを見ていこう。

不動産ファンドの仕事を単純化すればこうだ。投資家から資金を集めて物件に投資し、一定期間運用後に売却。投資家に利益を分配して投資を完結させる。取得時や売却時の成功報酬、運用手数料などがファンドの稼ぎだ。多くの物件を取得・運用し、あるいは高値で売却するほど報酬が増えていく。

まずは、原資となる資金を投資家から募ることから始まる。資金の出し手である投資家が注目するのは、どの地域の、どんな用途の物件に投資するかだ。例えば、アメリカのKKRが昨年1月に組成した「アジア不動産1号ファンド」は、アジア諸国の不動産を対象に、約1768億円を調達した。

資金の出し手は年金基金や政府系ファンド、保険会社、富裕層など。大口投資家に対しては、オーダーメイドで対応する場合もある。

4つの投資スタイル

地域や用途のほか、ファンドごとの投資スタンスも重要だ。下図を見てほしい。不動産ファンドには投資の目的によって4つの投資スタイルがある。

最も単純なのは「コア」と「コアプラス」。安定志向で、一等地で資産価値の高い物件を好む。売却益よりも手堅い賃料を重視する。

次ページ資金が集まったら物件の取得
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
不動産争奪戦
海外ファンドが日本の不動産に「強気」になる理由
JTB、エイベックスの本社ビルを相次いで取得
ミネベアミツミ「異次元価格」で大型ビル取得の訳
一般企業が不動産会社に競り勝つケースも
海外ファンドが明かす「日本のホテル」の再生余地
近鉄グループ保有の8つのホテルを譲り受け
海外ファンドが見出す「日本の不動産」特別な魅力
「低成長、低インフレはまったく気にならない」
池袋店と渋谷店が握る「そごう・西武のお値段」
建て替えの青写真と従業員の処遇がカギ
投資家が物流の次に病院不動産を狙う納得理由
老朽化で建て替え需要、医療法人の意識変化も
超高層ビル「大手町プレイス」異例ずくめ売却劇
投資家への「身体検査」に透けて見えるジレンマ
KKR、Jリート運用会社を「2300億円」で買収の衝撃
単なる「日本の不動産買い」とは異なる意図
「かぼちゃの馬車」再生狙う米投資ファンドの勝算
1200物件取得、シェアハウスの意外な投資価値
相続税対策の常識崩す、最高裁「路線価」ノー判決
どこからが節税の「やりすぎ」にあたるのか
10億円超も続々登場、「ニセコ別荘バブル」の狂騒
観光客は激減も開発目白押し、町は抑制に苦慮
「半分空室」のミッドタウン八重洲、三井不に試練
ビル同士での「テナント引き抜き合戦」が過熱
KKR責任者に直撃、Jリート会社「巨額買収」の本心
目指すは「国内、アジア最大規模の運用会社」
住友不動産が「オフィス空室」に一喜一憂しない訳
「売却しない」独自の成長哲学を副社長に聞く
ハイリスク&ハイリターンから安定志向まで
日本の不動産で「一獲千金」外資ファンドの万策
海外の年金基金や大学基金も日本に熱視線送る
インバウンドの回復をにらみ「買収合戦」が加速
事業会社が長年抱える「一等地」に狙いを定める
西のフロンティアに群がる国内デベロッパー
用地不足などの環境を逆手に取る手法が拡大か
都心最後のフロンティアで大型ビルが次々竣工
機関投資家や入居企業の環境意識が後押しに
香港ファンドが「日本の不動産」を買いあさる思惑
「2年をかけて35億~40億ドルを投資したい」
市場の裾野は広がるが、開発手腕も問われる
コロナ禍の影響が本格化してからどう動いた?
借金の重さ示す「負債資本倍率」で明暗くっきり
稼ぐ力を「会社四季報」の最新データで算出
国内最高4000億円「大手町プレイス」争奪戦の内幕
存在感を高めていた外資はなぜ鳴りを潜めたか
「オフィス空室率6%台」は気にする水準ではない
グローバルにみると空室率は「10%」が普通
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内