海外ファンドが日本の不動産に「強気」になる理由 JTB、エイベックスの本社ビルを相次いで取得

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海外マネーが日本の不動産市場に流れ込んでいる。国内投資家と違い、リスクをはらむ物件に対しても投資をいとわない投資家たちの実像とは。

JTB本社ビルをめぐる取引は不動産業界の話題になった(記者撮影)

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JR浜松町駅から東京モノレールで1駅。東京湾を望む天王洲アイル駅に直結する20階建ての高層ビルに、旅行代理店大手JTBは本社を構える。

8月末、JTBはこのビルを売却した。買い手企業は公表されていないが、イギリスの不動産ファンド「サヴィルズ」系列のファンドが約200億円で取得したことが東洋経済の取材でわかった。JTBの広報担当者は「守秘義務があるため回答できない」としている。

2021年にはビル1棟で数百億円や数千億円の不動産売買が成立しており、決して高額な取引ではない。それでも不動産業界でこの取引が話題になったのは「天王洲」という立地だ。

割安でも天王洲には手を出さない

「どれだけ物件価格が割安でも、天王洲には手を出さない」

別の不動産ファンドの幹部はこぼす。

天王洲は住所こそ東京都品川区だが、都心部へのアクセスは東京モノレールとりんかい線に頼る。JR山手線や地下鉄駅が最寄りのオフィス街と比べて交通利便性に劣るため、オフィス需要が弱く、景気後退期には空室増や賃料下落の影響を受けやすいとされている。 

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