マンションで急増「宅配ロッカー」が突く新課題 宅配の再配達回避へ、設置台数増加が急務に
今やほぼすべての新築マンションに設置されている宅配ロッカー。ロッカー付きマンションが定着するとともに、課題も浮き彫りになりつつある。
東京・豊洲で3月より購入者への引き渡しが始まったタワーマンション「ブランズタワー豊洲」。総戸数は1152戸と、開発した東急不動産にとっては過去最大の物件だ。
このマンションには東急不動産にとって、もう1つの過去最大がある。宅配ロッカーの設置台数だ。合計232台。共用施設が集結する4階フロアの一角には、宅配ロッカー専用の空間がいくつも設けられ、黒色のロッカーが所狭しと並ぶ。
日本通信販売協会によれば、2020年度の通販売上高は10兆6300億円と、前年度と比べて2割以上も増加した。2020年に首都圏で分譲されたマンションは、そのすべてに宅配ロッカーが設置されている(東京カンテイ調べ)。2010年代初頭には小規模マンションなどで採用を見送る事例も散見されたが、今や必須の設備となっている。
設置率「15%」でも不十分
宅配ロッカーの設置台数増加の背景にあるのは、荷物の滞留時間の長期化だ。宅配需要が増加しても、すぐに荷物が取り出されるのであれば問題はない。
だが、玄関で直接受け取るのではなく、在宅なのに敢えて宅配ロッカー経由で荷物を受け取る住民もいる。使える宅配ロッカーが少ないと宅配業者は再配達を余儀なくされるため、設置台数の増加が急務となっている。
宅配ロッカー大手・フルタイムシステムの斎藤博一営業企画課担当課長は、「宅配ロッカーの設置率はこれまで、マンションの総戸数に対して『10~15%の台数が適当』とされていた。今では15%用意していても不足する可能性がある」と指摘する。
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