「ビジョンが大事」って本当ですか?
一方、社内では早期退職制度を利用したリストラが進み、社員人数も減少しました。ところが、トップは今後のビジョンを語ることもなく、会社全体の方針が見えない状態で、私は少ない予算のなかで日々目の前の仕事を丁寧に進めています。
ビジョンを語れないトップの下で社員はどんな方法で会社を盛り立てていくべきでしょうか?」(40代・男性・文具業界)
角田:なかなか深刻なお悩みですね。売り上げが下がったので予算も下がっていて、トップにもビジョンがない。その中でどう頑張ればいいかという話ですね。
加藤:組織マネジメントの分野では最近、「組織のビジョンと自分のビジョンを重ねろ」みたいなことがよく言われるよね。だから仮に上からのビジョンがないとしても、自分が組織のビジョンとしても通用するビジョンを持っていれば「ビジョンはあるのだ」という考え方もできるわけだよ。上にビジョンがないと動きにくいのはわかるけれど、「だから動けない」というのもそれはそれで人任せだという気がするな。
角田:動くうえで自分以外の外的要因が障害になるのは、ある意味当たり前だよね。「景気が悪いから」みたいなことを言い訳にしていたら何も商売できないわけだからさ。それじゃあどこまでが「外的要因」なのか考えると、働いている人にとってじつは「上の人に決断力がない」も外的要因なんだと思う。
この方は40代とのことだから、きっと会社では中間管理職くらいの、ある程度責任のある位置を占めているからこそ本当に会社のことが心配なんだろうと想像します。