ビジョンのない会社で働く人が持つべき「視点」 頼りない経営層の下でどのように動くべきか

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加藤:だとすると平社員よりはある程度トップに近いわけだから、自分自身で会社のビジョンを決めることはできないにしても、「社長、こういうのはどうですか?」みたいにビジョンの候補を出してみるのはできるんじゃないかな。

角田:でもそもそもの話として、「ビジョンが大事」って本当なのかな?「会社のビジョンは何か」と聞かれて「サステナブルに貢献」とか「文化を育てよう」とかみたいに出てくるのは、決して嘘じゃないだろうし、ないよりはあったほうがいいとは思うけど、しっかりしたビジョンがあるからうまくいくという話でもないでしょう。「うちの会社はビジョンがないからダメなんだよ」とよく言うけれど、そういう会社はビジョンがあってもダメなんじゃないか、と思ってしまうけどな。

例えばテレビ番組を作るときにも、最近は「もっとちゃんと数字を見て出演者を決めて」みたいなことがよく言われるわけだけど、実際には「あの人に頼んだら、なんだかんだキャスティングができてちゃんとした番組になる」みたいな話が往々にしてあるわけだよ。政治も「マニフェスト」って言い出してからおかしくなったような気がするしさ。

会社は、究極的には儲かることが大切で、そのためにヒット商品を作ったり、テレビならヒット番組を作ろうとするわけだけど、その結果はべつに「会社のビジョン」とは連結していないわけだよね。質問者の方の文具会社にしてもTBSにしても、素晴らしいビジョンがあるからヒット作が出せてビジョンがないとヒット作が出せない、というわけじゃないでしょう。

「ミッション」と「ビジョン」は違う

加藤:それはそうかもね。「ビジョン」の定義はたくさんあるわけですが、個人的にいいと思っているものを紹介すると、まず「ミッションとビジョンは違う」という定義から入るんですね。そのうえでミッションは日本語にすると「使命」「天命」みたいな、その方向に進むけれど手に入るものではないので、追いかけ続けるもの。目的。「夢」に近いかもしれない。それに対してビジョンは文字通り「目に見える」ものなので数字にしやすいし、達成できたかどうかが評価しやすい。すなわち、到達までの道筋を立てやすい目標。

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