「今の若者は指示待ちばかり」と嘆く上司の盲点 「指示通りに働く人」を採用している可能性も

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「部下が指示待ちで困る」と嘆く前に「そういう人材を採用している」可能性はないか(写真:metamorworks/PIXTA)
「教科書を予習するのに、いちいち調べたり考えたりせずにすむように作られた、手軽な参考書」を指す“あんちょこ”という言葉。「安直」が語源ですが、「仕事にこそ、あんちょこが必要なんです」と話すのは、当サイトで『角田陽一郎のMovingStudies~学び続けてキャリアを伸ばす~』を連載中のバラエティプロデューサー・角田陽一郎氏。
そんな角田氏が、『考具』シリーズで知られる加藤昌治氏とタッグを組んだのが『仕事人生あんちょこ辞典』。昨年9月に代官山蔦屋書店で開催された本書の発売記念イベントを皮切りに、現在も配信にて、お悩み相談に答えるトークイベントを開催中です。
今回取り上げるのは、指示待ち社員に悩む50代女性への“あんちょこ”回答です。

「決定の裁量」と「お金の裁量」

「中小のIT企業で人事を担当しています。会社の事業自体は拡大しており、採用を増やしています。若い人が増え、やりたいことがある人はアイデアを試せる環境もできあがりつつあります。しかし、能力がある人を採用していると思うのですが、みんな言われたことしかやらない「指示待ち族」になってしまっている感があります。社員が自律的に動き出すような職場環境って、どうしたら作れるでしょうか?」(50代・IT企業人事)

角田:加藤君は人材開発に関わる場面もあると思うけれど、このお悩みにはどう答える?

加藤:「指示待ち族」にしないためには、やっぱり裁量を保証することだと思うな。その時の「裁量」には2種類あって、ひとつは何かをやる・やらないを決められる「決定の裁量」。そしてもうひとつは「お金の裁量」。

これは、とある有名なホテルの事例だけど、そこでは従業員一人が一日数万円の予算を使える裁量が与えられていて、自分の判断で使えるんだって。例えば宿泊客が誕生日であることが当日わかって、ちょっとしたプレゼントを用意したい場面があるとするよね。判断の裁量に加えて、ある程度お金の裁量が自分にあるから、迷わず用意することができるという話。自発的に動ける環境を与えてくれる、すごくいい仕組みだと思う。

次ページそういう環境があると誰か動く
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