「今の若者は指示待ちばかり」と嘆く上司の盲点 「指示通りに働く人」を採用している可能性も

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加藤:なるほどなるほど。

角田:優秀な人って、環境を理解してそこに合わせる能力に長けてるわけだよ。それは実際に仕事の能力なんだけど、だからこそ指示待ち族が多くなるんじゃないかな。

だから僕はTBSに感謝しているんだ。「ああ、こいつは絶対に指示を守らないタイプだな」って雰囲気を面接の時に思い切り出していたのに採用してくれたわけだから。テレビだから「なんか面白そう」と思って採ったのかもしれないね。指示待ちじゃないタイプだったからこそ辞めてしまった、という面もあるんだろうけれど。

加藤:いわゆる「優秀な人」ゆえに「指示待ち族」に近づいてしまう、ということはあるかもしれないね。

指示待ち族じゃない人を採用したいなら

角田:いろいろな会社の人と会う機会があるけれど、「ああ、この人は優秀だけど、周りを分析した通りに動いている、指示通りに働く人だな」と感じることは多いよ。

だから指示待ち族じゃない人を採用したいなら、そのラインを越える人を採用する冒険をしないといけないんだけど、問題はそういうタイプを採用してもイノベーティブまで達するかわからないことだよね。ただのわがままで終わる可能性もある。そもそも、上司の指示の範囲内の中でベストを尽くせる人は、相当能力が高い人なんだよね。

加藤:先日、「ゲーム」と「プレイ」は違う、という話を聞いたんですよ。

遊びには「ゲーム」と「プレイ」の2種類がある。あらかじめルールが決められていて、その枠の中で遊ぶのが「ゲーム」。対する「プレイ」は、ルールが無いところからルールそのものもプレイを通じて生成されてくる。そのうちにプレイがゲームへと固まっていくわけだけど、逆にでも、「ゲームでは優秀だけどプレイができない人」はもちろんいるとして、それが指示待ち族なのかな。

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角田:逆に言えばプレイから新しいゲームを創ることはできないけれど、ゲームで高得点とるのは得意なわけだよね。だから質問者の方に対して、指示待ち族タイプでもべつにいいんじゃないの?と思う気持ちもじつはある。

加藤:会社の業績もいいとおっしゃっているし、いまのままでもいいと。

角田:そう。結果として指示待ちタイプな人を「優秀だ」と思って選んでいるわけだけど、だからこそ例えば江戸幕府って260年も続いたわけだしさ。

加藤:確かに、そういう人がいないと組織がグダグダになるからね。

角田:もし質問者の方の上役、例えば社長さんが頭のネジが外れたタイプの経営者なんだとしたら、他の社員はべつに指示待ち族でもいいと思うな。

本連載では大学生や、若手社会人の皆さんからお悩みを募集しています。仕事、就活、受験、生き方……などなど、角田氏と加藤氏に相談したいことをお書きください。応募はこちらからお願いいたします。また次回のあんちょこ配信は6月24日(金)20時から、こちらのYouTubeチャンネルにて開催です。
角田 陽一郎 バラエティプロデューサー/文化資源学研究者

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かくた よういちろう / Yoichiro Kakuta

バラエティプロデューサー/文化資源学研究者。東京大学文学部西洋史学科卒業後、1994年にTBSテレビ入社。「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜日のスマたちへ」「EXILE魂」「オトナの!」など主にバラエティ番組の企画制作をしながら、2009年ネット動画配信会社goomoを設立。2016年にTBSを退社。映画『げんげ』監督、音楽フェスティバル開催、アプリ制作、舞台演出など多様なメディアビジネスをプロデュース。現在、東京大学大学院博士課程にて文化資源学を研究中。著書:小説『AP』『最速で身につく世界史/日本史』『なぜ僕らはこんなにも働くのだろうか』他多数。週刊プレイボーイにて映画対談連載中、メルマガDIVERSE配信中。

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加藤 昌治 作家/広告会社勤務

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かとう・まさはる / MASAHARU KATO

作家・広告会社勤務。千葉県立千葉高等学校卒。1994年大手広告会社入社。情報環境の改善を通じてクライアントのブランド価値を高めることをミッションとし、マーケティングとマネジメントの両面から課題解決を実現する情報戦略・企画の立案、実施を担当。著書に『考具』(CCCメディアハウス)、『発想法の使い方』(日経文庫)、『チームで考える「アイデア会議」考具応用編』(CCCメディアハウス)、『アイデアはどこからやってくるのか 考具基礎編』(CCCメディアハウス)などがある。

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