角田:そういう風に誰かがチャレンジをすると、成功する人もいるけれど失敗する人も当然いるよね。失敗した人への対応が、その職場の空気にとってすごく重要なんだと僕は思う。
というのも、僕がTBSにいた頃にgoomoという子会社を作ったんだけど、いろいろあってうまくいかなくて、僕を含めてgoomoの創立メンバー何人かはその後TBSを辞めているんだ。
それで僕が辞めた時、TBSの年頭の社員集会で、代表が僕らのことを話題にして「あの時に若者の勇み足を助けていたら、もっといい結果になったかもしれない。それを後悔しているから、これからはトライする若者を上の役職の人もできるだけ応援していこう」みたいなことを言っていたんだって。それを聞いて僕はやっぱり嬉しかったし、TBS自体も最近は上向きになっている。
だから、突っ走って討ち死にした人たちをちゃんと弔ってあげることで、相対的に指示待ち族を減らせるんじゃないかな。
加藤:加藤の言い方では、『仕事人生あんちょこ辞典』にも書いているように「トーナメント発想かリーグ戦発想か」ということになるかな。トーナメント発想で考えると一回負けたら終わり、だけど、リーグ戦だと考えれば連戦連勝ではなくても優勝できるわけだよね。会社の仕事は基本的にリーグ戦なんだと思ってる。
それを概念として理解していても、一方で試合数が担保されてないとリーグ戦にならないよね。だから会社とか組織の上の方が「今回は負けだった。じゃあ次は勝てるよう頑張ろう」と次の試合の機会を渡してあげる感覚を持っていないと、下は硬くなっちゃうよね。
角田:硬くなったら屍も増えていくし、それを見て指示待ちに留まる人もさらに増えていくよね。
加藤:だからこそ、1人ひとりに判断の裁量とお金の裁量とセットで渡して、それを使う機会を何試合分か担保してあげる仕組みがあると、自分から動きやすくなるのではないでしょうか。
「指示待ち族」でべつにいいんじゃないですか?
角田:別視点から質問に答えると、質問者の方は「能力がある人を採用している」つもりだけど、実際に入社させると「指示待ち族が多い」と思っているわけでしょう。ということは、じつは指示待ち族的な人を「能力が高い」と評価して、採用してる可能性はないかな。
この方は中小企業とのことだから当てはまるかわからないけれど、大企業は比較的優秀な人が多いのだけど優秀な人が多い会社ほどイノベーションが起こらない肌感があるな。