先輩が若手に「悪気なく言う」実は絶対ダメな一言 「仕事に向いてない」相談を受けたらどうする?

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部下・後輩・年下に対して、本気で「困ったことがあったらいつでも相談してほしいし、力になりたい」と思うなら、具体的に「できること」を提案するのが正解です。

「大変そうだね。リサーチでも手伝おうか」

「A社の担当さんから連絡あったけど、代わりに折り返しておく?」

もちろん、ピンポイントで見極め、手を差し伸べることができれば理想です。しかし、仮にズレていたとしても、かまいません。最初にアクションを起こしてもらえれば、相手はSOSを出しやすくなります。

「リサーチは終わってるので、これを手伝ってもらえると助かります!」

「ありがとうございます! 折り返しは大丈夫なんですが、見積もりがまだで……」

最初はうまくいかなくても、次第に勘どころもつかめてくるはず。そうやって、目の前の人の「困りどころ」を見極めるのも「上」のお仕事。今後、もっと多くの部下をマネジメントするときに生きてくるはずです。

ポイント:「何か」ではなく、具体的な助け舟を出す

「仕事に向いていない」相談を受けたら?

相談を受ける
× 「仕事ってそういうもの」となだめる
〇 「どんな仕事がしたい? 」と引き出す

「うちの会社がやってることって、意味あるんですかね?」

「まぁほら、仕事ってそういうものだから」

「私、向いてないんですよ、根本的に……」

「そんなことないって。それぐらいの年頃はみんな悩むものだし」

部下・後輩・年下に仕事の悩みを打ち明けられたとき、「そういうものだよ」「あるある」と慰める人がいます。

自分自身が経験した悩み。あるいは、そういう人をたくさん見てきた。だからこそつい「我慢してればいつか終わるよ」「あなただけじゃないよ、ためこまないで」とフォローしたくなる(そして、ナイーブな若者に社会の現実を教えてあげたくもなる)……。ですが、それは不正解です。

悩み相談をする人は、自分の悩みをそのまま受け止めてほしいと思うものです。

「よくあること」と簡単に片づけられたくないし、「我慢するしかない」という正論を聞きたいわけでもありません。

これもだいぶ浸透した知識ですが、悩み相談は、「大変だね」「困ったね」「それはつらいね」と、共感のあいづちを打ってそのまま受け止めるのが常道です。相手の言葉をオウム返しするなども効果的。

どれだけそのジャンルについて詳しくても、どれだけ相手のことを心配していても、さくさくとアドバイスはしない。とうとうと自分の経験は語らない。それが「上」の立場に求められる我慢です。

部下・後輩・年下に対して、悩みを否定せず、決めつけず、正論で片づけず、さんざん聞くだけ聞いたあとできることは「相手の中から答えを引き出す」です。

「意味ねえ、大事だよなー。どんな仕事だと意味を感じられるかねえ?」

「……もともと、僕って、海外の貧困を救うような仕事をしたかったんですよ」

「向いてない、かあ。どういうときに向いてないと思うの?」

「……私、昔から細かい作業が苦手で。あ、でも企画考えたりするのは楽しいんです」

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