貯まったお金の使い道に困るというまさかの事態 稼ぐのも大変だが「ちゃんと使う」のも難しい

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友人にもらった煎餅が超絶ウマイと思ったら、原材料が米と醤油だけだった。余分なものがないことが今の自分には一番ストレスがないらしい(写真:筆者提供)
疫病、災害、老後……。これほど便利で豊かな時代なのに、なぜだか未来は不安でいっぱい。そんな中、50歳で早期退職し、コロナ禍で講演収入がほぼゼロとなっても、楽しく我慢なしの「買わない生活」をしているという稲垣えみ子氏。不安の時代の最強のライフスタイルを実践する筆者の徒然日記、連載第61回をお届けします。

使うあてのないお金がいつも手元にある「異常事態」

さて前回、世のほとんどの人が「買う生活」で幸せを手に入れんと大変な努力とご苦労をされている中で、まさかの「買わない生活」ですんなりとすべての幸せを手に入れたばかりか、挙げ句の果てに、そのような新しい生活様式により「もうそんなにお金はいらないよ」ってことになってしまったがゆえに、結果その「お金」までもが手元に転がり込んできたという、実に矛盾に満ちた予期せぬ事態に陥ってしまったことをご紹介させていただいた。

稲垣えみ子氏による連載61回目です。

いやーまったくもって「ま・さ・か」の事態である。

だってこれって、要するに、私は常に「余剰金」を手にしているってことだ。使うあてのないお金がいつも手元にある。いやはや何という異常事態であろうか。そんなことが我が身に起きるとは、50年以上生きてきて考えたこともなかった。

だってですよ、会社員時代に恵まれたお給料をもらっていた時でさえ、そんな余剰金が手元にあった試しなどただの一度もなかったのである。

なぜなら私のアタマの中にはいつだって数限りなく「買いたいものリスト」がずらりと行列していて、しかも収入が増えるほどに、そのリストの中身は、マンションだの車だのビジネスクラスの航空券だのハイブランドの洋服だの、要するに「値の張りまくるもの」が際限なく増えていくのだった。要するに、どれほど収入が増えようが、欲しいものは常にそれを上回っていく状態だったのである。

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