貯まったお金の使い道に困るというまさかの事態 稼ぐのも大変だが「ちゃんと使う」のも難しい

✎ 1〜 ✎ 60 ✎ 61 ✎ 62 ✎ 63
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

となれば、ポンと一回お金を出して終わりというのでは無責任で、もし寄付をするなら地道に長い間継続してお金を払い続け、なおかつ自分自身もその組織にちゃんとコミットして運営に関わるくらいの覚悟がなきゃダメなんじゃないか?

で、私にそこまでの覚悟はあるのかね?

そこまで考えると、私は肩を落とさざるをえなかった。現実には私、他にやりたいことがたくさんあるので残念ながら新たなミッションにそこまでの時間もエネルギーも割けないのである。となると、まとまった寄付というのも現実的な選択肢とは言えないと思わざるをえなかった。

ということで、災害時の一時的な寄付、知人が立ち上げたクラウドファンディング、尊敬する故中村哲さんが立ち上げた「ペシャワール会」などにはちょこまかと寄付を続けさせていただいているが、せいぜいその程度が私の身の丈なのである。

お金を「ちゃんと使う」ことの困難さ

誠にお金というものは、稼ぐのも大変だが、「ちゃんと使おう」とすればそれはそれでまったくラクじゃないということが次第にわかってきた。

端的に言うと、お金というやつはどうも寂しがり屋で、見知らぬ人にハダカで嫁がせるとロクなことにならない感じなのである。よく知っている人、安心して託せる人の元に責任を持って送り出し、なおかつ折に触れ様子を見に行ってやるくらいの面倒をマメに見てやらなければ、どうもろくな結果にならない感じなのである。

このようにヤツが本当に生き生きと幸せに活躍できるような「嫁ぎ先」を考えるのはまったくもって困難なことなのであった。

(つづく)

稲垣 えみ子 フリーランサー

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いながき えみこ / Emiko Inagaki

1965年生まれ。一橋大を卒業後、朝日新聞社に入社し、大阪社会部、週刊朝日編集部などを経て論説委員、編集委員をつとめる。東日本大震災を機に始めた超節電生活などを綴ったアフロヘアーの写真入りコラムが注目を集め、「報道ステーション」「情熱大陸」などのテレビ番組に出演するが、2016年に50歳で退社。以後は築50年のワンルームマンションで、夫なし・冷蔵庫なし・定職なしの「楽しく閉じていく人生」を追求中。著書に『魂の退社』『人生はどこでもドア』(以上、東洋経済新報社)「もうレシピ本はいらない」(マガジンハウス)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事