ってことでいよいよ、迷走を重ねた私の「余ったお金」の使い方について書く。
普通は「貯める」ものだが……
まず考えたのは「貯める」ということだった。
だって、普通はそうしますよね。余ったお金は貯める。これジョーシキ。何しろ人生100年時代。長生きしちゃう可能性が高いってことは、これはもうお金がいくらあっても足りないってことなわけで、ましてや不安定なフリーランスの身としては、老後を待たずとも収入上のピンチがいつ襲ってくるかわからない。そんなこんなで、どう考えてもまずは貯金であろう。
ってことで、最初は余剰金はありがたくほったらかしにしていた。日々余ってしまうお金が自動的にたまっていくのを「ラッキー」と思って眺めていたのである。
よしよしこれで私はきっと安泰。この調子でウッシッシと貯めていけば老後もなんとか大丈夫なんじゃ? ああついにやりましたよ稲垣えみ子! 会社を辞めた当初はこの先どうなることかと五里霧中だったが、案外あっさりと人生不安なく全うできるめどがついたんじゃないでしょうか。我ながらなかなか頑張ったと自分で自分を褒めたい。何はともあれめでたしめでたし……などと単純に考えていたのだ。
ところが、である。
次第に、それって何かおかしくないか? っていうか、意味なくないか? と思えてきたのである。
何しろ私、お金を貯めて何かがしたいなどということがまったくないのである。だからこそお金が貯まってしまうのだ。
さらには「買わない」で幸せを手に入れるスキルは日々蓄積され高まっているので、ここまでくると、この先どのように収入上のピンチが訪れようと、支出をそれ以上に減らすことに何の躊躇もガッカリもない。家賃が払えなくなれば田舎で空き家を借りてセルフビルドしようとか、むしろ新たな冒険に心が躍る。
となると、結局のところどこまで行っても「収入>支出」ってことになって、半永久的にお金が貯まり続けることになりかねないではないか。いやいやいや、それってよく考えたらまったく意味なくないか?
だって「お金がなくても幸せ」な私の元に延々とお金が貯まり続けたとて、それはまさに「ザ・宝の持ち腐れ」である。お金だって適材適所。ちゃんと役立つ場所に出て行って初めて真価を発揮する。
ならば、こんな私のところに止めおいてはいかんのではないか……? 風水じゃないけれど、お金であれ風であれ水であれ、ひとところに貯まって淀んでいくものは、どうも何か悪い「気」を発しそうである。不幸を呼び込みそうである。
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