「リコーから僧侶へ」彼が驚いたお坊さんの仕事 好きになった女性がお寺の一人娘だったら!?
2021年には活動を事業化しました。事業にしたのは単純に貯金がなくなったからですが、現在は活動の応援費のような意味でお金をいただいています。
もともと日本の仏教はほかの宗派の方とも仲がいいのですが、事業化したことで、ほかの宗派の方からお声掛けをいただく機会も増えました。
皆さんが観光で訪れるお寺以外にも、全国には熱意をもって活動をされているすてきなお坊さんが大勢いるんですよ。そういった全国のすばらしいお寺が50年後も100年後も存続できるように、自分ができることをやっていきたいと考えています。
「自分ができること」を発信していけば道が開ける
今やっていることはエンジニアのときとは違いますが、課題を見つけて分析し、どう対応するかという「問題解決のフレームワーク」はエンジニア時代につちかわれたものかなと思います。そういう意味では、研究生活も、社会人経験も無駄にはなっていないですよね。
とはいえ、リコーを辞めたときに、自分がまさか「寺院ITアドバイザー」になるとは想像していなかったです。好きでやりたいからやってきただけなんですけど、続けてきてよかったな、と思います。
なぜなら、「自分のスキルや知識をシェアして、周りの役に立つ」という道が開けたからです。
先ほど言ったように、平日に会社勤めをしているお坊さんは多いので、私以上にITに詳しい方って大勢いらっしゃるんですよ。ただ、自分が持っているスキルや知識をシェアしている人は、あまりいないんですよね。それは少しもったいないことだと思います。
私は26歳になるまで「お坊さんになる」なんてまったく思っていなかったので、われながら変わったキャリアだとは思います。
私たちの業界だと“ご縁”といいますが、不思議なご縁をいただいたので、自分ができることが誰かのためになるのであれば、積極的にやっていきたいと考えています。
ただ、「IT僧侶」といわれて活動に注目していただくことはありがたい一方で、願わくは私の世代でIT僧侶は終わりにしたい。次の世代には「使える人」が特別なのではなく、誰もがITを使いこなすようになっていてほしいですから。その時が来るまで、「IT僧侶」として周りのお力になれたらと思います。
(取材・文/古屋江美子)
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