「リコーから僧侶へ」彼が驚いたお坊さんの仕事 好きになった女性がお寺の一人娘だったら!?

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お寺の修行って、結構大変だと聞いていて。どうせやるなら体力的にも若いうちのほうがいいかなと思い、そこに迷いは一切ありませんでした。ものづくりは、趣味でも続けられますから。

そうして修行を経て、僧侶になって驚いたことの1つが、お坊さんの仕事の多さです。お葬式や法事などの法要以外にも、行政やお檀家さんへ提出する資料作り、勉強会、経理、あとはお坊さん同士の会議も結構あるんですよね。

事務作業も多いので、少しでも効率化できたらいいなと思ってやってみたのが、お墓の地図のエクセル化。単純に区画にA-1、B-1……と番号を付け、それを檀家名簿とひもづけて、すぐにお墓の場所がわかるようにしました。

それまでA2サイズくらいの手書きの地図で管理していたので、場所を見つけるだけでも10分くらいかかり、待っている檀家さんたちもイライラしただろうなと。

それが1分もかからなくなったので、お坊さんが直接お墓へ案内したり、世間話をしたり、お檀家さんとのコミュニケーションの時間がとれるようになりました。義父である住職も、このお墓のエクセル化は「いいね」と肯定的に評価してくれて、うれしかったですね。

そこから業務のIT化へのモチベーションが上がって、アプリやツールを使ったり、ちょっとしたコードを書いてみたり、「技術好き」を生かしてさまざまな取り組みをしてみたんです。

会報誌を「Scansnap」でスキャンしている様子。さまざまなツールを使って業務効率化を図ったことで、周囲にとても喜ばれたという(写真:エンジニアtype)

「Evernote」がIT活用啓蒙活動を始めた大きなきっかけ

うちもそうですが、町のお寺って、どこも僧侶が1人か2人の家族運営が多いから業務量が多くて大変なんですよ。

そこで、ほかのお寺へもIT活用の啓蒙活動を始めたのは2016年頃。大きなきっかけは、法要に関する資料の保存などに活用していたメモアプリの「Evernote」です。

Evernoteの公式SNSに「僧侶もめっちゃ使ってますよ!」とメッセージを送ってみたら、公式ブログでインタビューをしてくれたんですよ。

すると記事を読んだ同業者から「便利そう」とか「どうやって使うの?」とあれこれ聞かれるようになって、「みんな同じようなことで困ってるんだな」ということに気が付きました。

そこからですね。もっと自分ができることをシェアして、「僧侶のIT技術のボトムアップ」ができたらいいなと思うようになったのは。

(写真:エンジニアtype)
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