「不幸なエンジニア」と幸福なエンジニアの差 幸福学者・前野隆司さんインタビュー
自分の技術で世界をあっと驚かせるような“新しい何か”を生み出したい。
自分のアイデアで世の中をもっと便利にしたい――。
多くのエンジニアが、そんな夢を持ってキャリアをスタートさせたはず。しかし、現実はどうだろう。いつの間にか仕事はただの作業となり、会社に行くことさえも苦痛。将来を考えると不安なことだらけで、毎日が何となく不幸モードという人もいるかもしれない。
元キヤノンのエンジニアで、幸福学者の前野隆司さんは「若手エンジニアは、不幸のループに陥りやすい」と話す。その理由とは一体なんだろうか。エンジニアが幸せに働いていくための秘訣とあわせて聞いた。
「やらされ感」で仕事をしてはいないか?
一般的に20代のエンジニアは、会社の中でも末端の仕事を任されることが多いですよね。本当はどんな仕事だって大きな目的につながっているし、人の役に立っているはずなんだけど、その片隅を任されているから、「何のための仕事か」ということが分からなくなってしまいがちです。
そもそもエンジニアは、部分的に切り出されたものを“ちゃんと仕上げる”のが仕事というところもあるので、全体を見る視点を失いがちなんです。すると、「やらされ感」がどんどん大きくなっていきます。
この、「やらされ感」というのは幸せの天敵で、エンジニアを不幸のループの中に閉じ込めてしまいます。
やらされ感で仕事をしてる人って、周りの目から見ても分かりますよね。「あ、なんだかあいつ、つまんなそうに仕事してるな」って。すると、ますます面白い仕事を任せてもらえる機会は減るし、新しいことにチャレンジできないまま出世からも遠ざかる。ずっと末端の仕事が流れてくるようになります。