「不幸なエンジニア」と幸福なエンジニアの差 幸福学者・前野隆司さんインタビュー

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そんな僕から改めて、若手エンジニアの方に幸せに働くためのアドバイスを送るとすれば、できるだけ早いうちに「自分の強み」を見つけましょうということです。強みがあると、自分に自信が持てるからイキイキと働けるようになるし、面白い仕事や上流の仕事がどんどん舞い込んでくるようになります。

ネガティヴを断ち切れば、未来は明るく見える

じゃあ、自分の強みはどうすれば見つかるのか。

これはすごく簡単で、周りの人に聞いてみるといいですよ。自分では気づけなかったような答えが返ってくるかもしれません。

また、自分の苦手なことに目を向けてみるのも一つの手。人と関わって働くのが苦手な人は、一人で仕事に集中するのが得意な人ということになるかもしれないし、細かい仕事が苦手なら、物事の全体をざっくり把握する仕事が得意かもしれない。苦手と得意は表裏一体で、自分がコンプレックスだと感じていることも、捉え方を変えると長所になることはよくあります。

人生100年時代、20代〜30代のうちに何もかも成し遂げようなんてことは考えなくていいと思います。焦る必要はありません。

ただ、歳を重ねるごとに人生をハッピーなものにしていくためには、ネガティブを一度断ち切らないといけません。そのために、部分ではなく「全体を見る視点」、「自分らしさの発揮」、「強みの発見」はぜひ日々の仕事の中で意識してみてください。

(取材・文:栗原千明)

前野隆司(まえの たかし)さん/慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 教授/キヤノン株式会社でのエンジニア職、慶應義塾大学理工学部での教員職を経て現職。研究分野は人間システムデザイン(社会・コミュニティー、教育、地域活性化、農業、NPO、ヒューマンインタフェース、認知科学・哲学など)、幸福学など。著書は『思考脳力のつくり方』(角川新書)、『幸せのメカニズム』(講談社)など多数。(HP

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『エンジニアtype』編集部

キャリアデザインセンターが運営するwebマガジン。「どう創る? これから先のシゴト人生」をテーマに、エンジニアの今後の仕事選択・働き方・スキルアップなどに役立つ情報を配信している。

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