《プロに聞く!人事労務Q&A》障害者雇用促進法の改正について教えて下さい
回答者:雇用システム研究所 白石多賀子
障害者の就労意識が高まり、大企業においてはCSRの観点から障害者雇用が進んでいます。しかし、障害者にとって地域の身近な中小企業での障害者雇用は低下傾向にあります。
今回の改正は、中小企業における障害者雇用の促進を図り、また、障害者の短時間労働へのニーズに対応するためです。平成22年7月1日から施行された改正ポイントについて説明します。
障害者雇用納付金制度は、障害者を雇用するために作業施設や設備の改善、職場環境の整備等が必要とされ経済負担が伴うために、雇用義務を履行する企業と履行しない企業の経済的負担を調整するための制度です。
雇用障害者数が法定雇用率(1.8%)に満たない企業からは徴収し、それを原資に法定雇用率を超えて障害者を雇用する企業に対して、助成・援助を行います。
「障害者雇用納付金制度」が適用される対象範囲を常用雇用労働者数が200人を超え300人以下の中小企業に拡大しました。
なお、平成27年4月1日からは、常用雇用労働者数100人を超え200人以下の企業も納付金制度が適用されます。
障害者の雇用義務の基礎となる労働者および雇用障害者に、週所定労働時間20時間以上30時間未満の短時間労働者も対象となりました。
法定雇用率を適用することがなじまない非鉄金属製造業、建設業、道路貨物運送業等の業種に対して、企業負担を調整する観点から除外率を設定していますが、その除外率がそれぞれ10%ポイント引き下げられました。