25歳陰キャ青年が「孤独研究」で37万人登録の訳 ASDゆえ到達できた「自分を変えない」生存戦略
他者に興味はあるものの、プライドの高さゆえに近づけず、その結果として「ひとりでいることが平気で当たり前な人」を演じる……そんな3年間ののち、田中氏は千葉大工学部電気電子工学科に入学。
しかしここでも、理想主義的な感覚は抜けなかったようで、入ったサークルも離れ、人付き合いから距離を置いてしまう。その結果、学業面で思わぬ困難に直面することになった。
「友達がいないと、試験に向けた情報や過去問が手に入らないんですよね。授業で習うのは理論で、テストで出題されるのは問題だから、理論を押さえたところで答えを出せない状況になる。
僕の場合、入学当初は大丈夫だったんですが、2年生頃からポロポロと単位を落としていきました。勉強ばっかりしてるけど全然身についていない、とても非効率な生活でした」
大学に馴染めないために学業がうまくいかず、留年しそうになっても馴染めていないために悩みを共有できる人がいない……そんな日々を重ねるなかで、大学に設置されたメンタルヘルス相談室を訪れたこともあった。
「今なら『留年とかしても、全然いいんじゃないか?』と思っちゃうんですけど、当時は大ごとにとらえていたように感じます。実際、学校に行くたびに心臓がバクバクなったり、電車に乗ってるとお腹が痛くなったりしていましたね。
でも、そこでふたたびサークルに入ったりとかはなくて。すでにできているコミュニティに入ることって、自分にはなかなか難しいんですよ。
加えて、『サークルなんかやってるぐらいなら、もっと生産的なことをしたほうが将来役に立つんじゃないか』『馴れ合いなんかしてる場合じゃない』という気持ちもありました。YouTubeを始めたのも、結局そういう気持ちの延長線上なんです。みんなと飲み会してるぐらいなら動画撮ってたほうがいいなって」
社会人2年目からYouTubeを本格始動
YouTubeへの投稿は中学時代からしていた田中氏だったが、顔出しでの活動を本格的に始めたのは2020年4月、現在のチャンネルを開設をしてから。 時間がかかったのは、周囲にどう思われるかが気になったからだった。
「新卒入社した会社を1年で辞めて、新たに社会人デビューするタイミングになり、周りのコミュニティが一回なくなったというのが自分の中で大きかったです。
本音を言えば、大学にいた時もYouTubeをやりたかったけど、『同級生に見られたら恥ずかしいな』という気持ちでできなくて。また、新卒入社した会社でも、同じ気持ちから活動に踏み切れなかったんですよね」
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