25歳陰キャ青年が「孤独研究」で37万人登録の訳 ASDゆえ到達できた「自分を変えない」生存戦略

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「すごい上からになるんですけど、就職して同期を見ていると『自分のほうが自己解決力があるな』と感じたんですね。自分は大学時代、試験勉強も就活もひとりで対策していたので、情報収集力などの面で『結構差がついてるな』って思えたんです。

もっとも、ひとりでできちゃうからこそ孤独だったのか、孤独だったからひとりでできるようになったのか、どっちが先なのかはわからないですけどね」

取材中、最後まで記者とほぼ目が合わなかったが、時折笑顔はこぼれていた(撮影:尾形文繁)

動画の中で「学生時代以上にひどくなることはない」と繰り返し語りつつ、自由なYouTube活動を続けることで、結果的に少なくない視聴者の救いになってきた田中氏だが、5月には初の著書『群れずに心穏やかに生きる 正しい孤独マインド入門』を上梓。自身のエピソードを交えつつ、孤独な中で生きるための手法を、具体的に解説している。

一例をあげると、たとえばツイッターの非公開リスト機能に、同じ学科の生徒たちを追加するという手法。ツイッターには大学名や学科名を記載している人が一定数いるが、彼らの相互フォローを調べることで同じ学科の人たちを見つけていく。こうして友人がいなくても、無事に休講情報や単位取得が楽な授業を知ることができる……という算段だ。

読者の中には「知れたとして休講情報なのか」と思う人もいるだろうが、田中氏自身のエピソードからもわかるとおり、孤立というのはそれぐらい情報が入ってこなくなることを意味する。また、内向的な気質の人がコミュニティに属するのは、相応の負担がかかるのも事実であり、「サークルに入ればいいのでは?」といった解決策も、現実的とはいえないだろう。

その点、SNSやネットを駆使して情報を集めるという田中氏の戦略は、「自分を変えよう!」という自己啓発的なメッセージが氾濫するこの社会においてある意味、現実的な「陰キャの生存戦略」と言えるだろう。

人付き合いが苦手な生徒の気持ちを代弁

記者が今回の書籍の中で強く共感したのは、小中高における「2人組を作って」問題について、言及した箇所だ。

体育の時間に自由にペアを組ませることは、昔も今も残る風習のようだが、田中氏は「友達付き合いが苦手な生徒の気持ちを理解していない」と指摘する。

「教師になろうと思うのは『学校が楽しかったな』と思う人。傷を負った人は教師になろうとは思わないから、人付き合いが苦手な生徒との関わり方が根本的にわかっていないんです。

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