2100年代、日本は韓国より早く国家機能失う危機 人口問題に関して、北朝鮮は韓国の「奥の手」に

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元々コンパクトシティは、高齢者が郊外で暮らすのが不便になったことに対応する都市計画でした。しかし、人口減少社会でインフラや国家機能を効率的に維持・運営するためにも、コンパクトシティは有効です。

コンパクトシティを突き詰めると、日本は将来、国内に数十カ所のコンパクトシティが点在する都市連合国家になるでしょう。コンパクトシティの成功例とされる富山市や九州全域から移住者を引き寄せる福岡市などを見ると、日本は確実に都市連合国家=田舎には誰も住まない国家に向かっていると実感します。

移民も必要だが、ロボット化が解に?

さて、ここからは個人的な見解です。コンパクトシティは、人口減少社会で国民が快適に暮らすために必要な施策です。が、所詮は「日本国の消滅」を遅らせるに過ぎません。最初は全国に数百のコンパクトシティがあったのに、やがて各都道府県に1つ全国47になり、10になり、東京1つだけになり、その東京も維持できなくなり……という展開が予想されます。

コンパクトシティで延命するだけでは、いずれ日本国も日本人も消滅してしまいます。「戦略的に縮む」ことも大切ですが、やはり、子供を増やすことにも注力するべきではないでしょうか。

検討するべき1つ目の政策は、移民の受け入れです。アメリカで人口が増え続け、経済が発展し続けているのは、移民を受け入れているからです。日本も移民をタブー視せず、受け入れを検討する必要があります。

ただ、世界中で少子化が進み、すでに移民が不足し始めており、将来はお金を積んでも移民が日本にやってこないという状態になるでしょう。たまに「移民を解禁すれば人口問題が解決する」という主張を見かけますが、移民は究極的な解決策ではありません。

もう1つ、筆者が日本の「秘密兵器」として期待するのが、ロボット化です。現在、出産から育児、さらに家事まで女性に負担が偏っており、少子化が加速する原因になっています。家庭での女性の役割を日本のお家芸であるロボット技術で代替することで、少子化対策に大きな展望が開けてくるでしょう。

今こそ、国民も国も少子化という国難に向き合いたいものです。

日沖 健 経営コンサルタント

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ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。

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