「チョコレート効果」長期低迷⇒躍進の意外な裏側 1998~2014年はお荷物、粘りの健康志向が結実
72%、86%、95%――。
明治の「チョコレート効果」がヒットしている。一包み5グラムの小さな板チョコ入りのパッケージにはカカオ分が数字で記され、「美と健康を考えた、高カカオポリフェノール」「低GI」といった、一般の甘くておいしいチョコとは異なるキーワードが目立つ。
全国のスーパーやコンビニの棚で、すっかりおなじみとなったこのチョコレートは、1998年に発売され、今や、年間200億円を超える「高カカオチョコレート(カカオ分の高いチョコ)市場」の約60%を占めるトップセラーだ(インテージSRI 高カカオチョコレート市場 2020年4月~2021年3月累計ブランド別販売金額)。
ここ数年でメジャーになったので、なんとなく新しいもののようだが、実はデビュー24年。ブレイクするまで、苦節17年。長い不遇の時代を乗り越えてきた。
「チョコレート効果」は、健康を意識してチョコを食べるという新しいスタイルの火付け役となり、2010年に約15億円だった「高カカオチョコレート市場」は、2020年に約210億円まで成長した。これはチョコレート市場全体の約7%にのぼる。
「チョコレート効果」が歩んだ道を振り返り、消費者のチョコへの意識の変化をたどろう。
ココアブームがきっかけだった
チョコを食べすぎるとニキビができる、鼻血が出る――。医学的な根拠はないものの、チョコにはかつて、なんだか体によくなさそうなイメージがあった。「チョコレート効果」が生まれたのは、そんな時代の真っただ中。世間では、一体チョコに何の効果があるというのか、という感じだったはずである。
開発のきっかけは、1995年のココアブームだった。テレビ番組で健康効果が取り上げられ、全国でココアが品切れになる事態が起きた。実はその数年前からココアやチョコレートの原材料「カカオ」に豊富に含まれるポリフェノールに注目し、研究を続けていた明治は、「これからはポリフェノールの時代が来る」と確信。前代未聞のポリフェノール含有量の高さを売りにして、健康をコンセプトにしたチョコを開発。「チョコレート効果」は、1998年に発売となった。
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