コカ・コーラ「檸檬堂」がまだ伸びる驚きの理由

あえて「レモンサワー」に全集中した狙いとは

日本コカ・コーラが販売する「檸檬堂」。その売れ行きに酒類メーカーも舌を巻く(編集部撮影)

「低アルコール飲料市場の並み居るブランドの中で、堂々のポジションを確立することができた」。11月13日、コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスの決算説明会で、日本コカ・コーラの和佐高志CMO(最高マーケティング責任者)は胸を張った。

同社が販売する缶チューハイ「檸檬堂」が売れに売れている。出荷数量は2020年1~9月で約570万ケース(350ml換算)を突破。当初500万ケースとしていた年間の販売数量計画を800万ケースに引き上げた。新たな年間計画は、酒類業界で通例の250ml換算にすると1120万ケースに当たり、2003年に発売されたキリンの缶チューハイ「本搾り」(2019年で約1200万ケース)に迫る数字となる。

2018年5月に九州限定で発売された檸檬堂は、2019年10月から全国販売に切り替わった。好調な売れ行きを受けてのことだったが、その勢いは止まらず2020年1月には品薄となり一時出荷停止するに至った。

「他社メーカーながら美味しいと思う」「得意先でもよく売れていると話題に上る」。酒類メーカーの関係者からはそんな声が聞こえてくる。

清涼飲料で培った果汁や炭酸の技術を応用

トップブランドであるサントリーの「-196℃」ブランドやキリンの「氷結」などの年間4000万ケースには及ばないが、十分に目を引く実績といえる。なにしろコカ・コーラが自社ブランドからアルコール飲料を販売するのは、世界でも初の試みだったからだ。檸檬堂の成功を踏まえ、アメリカのコカ・コーラも甘さを加えたアルコール度数4.7%の炭酸飲料を2021年からアメリカ国内で発売すると発表した。

「チューハイは原料を混ぜ合わせてつくるので、ビールのような醸造技術がいらない。清涼飲料で培った果汁や炭酸の技術が使えた」。日本コカ・コーラで檸檬堂のブランドチームを統括している関口朋哉氏がそう話すように、チューハイは比較的参入しやすい市場であった。

しかし、酒類メーカーをはじめとし、さまざまなメーカーの商品が市場ではひしめき合っている。フレーバー別など商品の種類も多く、期間限定品も発売されるので入れ替わりも激しい。さらに各社が価格競争でしのぎを削っている。

このような市場で檸檬堂が存在感を放つことができたのは、商品の差別化に成功したからだ。

酒類メーカーがぶどうや桃、コーラなどいくつかの風味のチューハイを揃えているのに対し、コカ・コーラはあえてレモンサワーのみに絞ることで消費者への訴求力を高める戦略を採った。種類を増やすたびに販促費をかける他社と比較すると、マーケティング費用を集中投下することもできる。加えて、檸檬堂というわかりやすいブランド名にすることで、商品イメージをわかりやすいものにした。

次ページ檸檬堂が狙ったターゲット層とは?
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 最新の週刊東洋経済
  • 晩婚さんいらっしゃい!
  • 近代日本を創造したリアリスト 大久保利通の正体
トレンドライブラリーAD
人気の動画
早慶上理・MARCH・関関同立、少子化でどうなる?
早慶上理・MARCH・関関同立、少子化でどうなる?
日本製鉄は「巨人トヨタ」でも1ミリも譲らない
日本製鉄は「巨人トヨタ」でも1ミリも譲らない
山手線2日間運休「渋谷駅大工事」何をどう変えた
山手線2日間運休「渋谷駅大工事」何をどう変えた
「安売り日本」はもう限界、ニッポン再生計画
「安売り日本」はもう限界、ニッポン再生計画
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
勝ち組シニアと負け組シニア<br>定年格差

「45歳定年」発言に対し一部で猛反発。現実には法改正で70歳までの雇用確保が今春努力義務化されました。人生100年時代といわれる今、従来の定年はもはやなくなりつつあります。老後も働くシニアが第二の人生を勝ち抜くためにすべきことは何でしょうか。

東洋経済education×ICT