「チョコレート効果」長期低迷⇒躍進の意外な裏側 1998~2014年はお荷物、粘りの健康志向が結実
大きなチャレンジだった。しかし、待ち受けていたのは、厳しすぎる現実だった。甘いミルクチョコレートが主流の時代に、苦味のきいた味は受け入れられず、売り上げは低迷。発売当時、大阪工場の製造担当者だった宇都宮洋之さんによると、工場内では「こんなの苦くて売れへんで……」と未来を案ずる声がささやかれ、2013年くらいまでは、社内には「いつまで販売を続けられるのか……」という空気が流れていたという。
世界中のカカオを研究、エビデンスを示しブレイク
それでも明治は粘った。「いつ終売になってもおかしくない状況でしたが、私たちはカカオの健康価値を伝えたい。その象徴が『チョコレート効果』です。必ずブレイクすると信じていました」(明治 マーケティング本部カカオマーケティング部 新田大貴さん)。
味を良くするための改善を重ねた。ポリフェノールは、苦くて渋い成分なので、ポリフェノールを多く入れるほど、チョコレートは苦くなってしまう。その問題を解決するため、製造担当者としてレシピ設計をした宇都宮洋之さんは、世界中のカカオを研究した。「苦味が少なく、ポリフェノール量が多いカカオを探しました。カカオは産地や種類によって、味もポリフェノールを含む量も全然違うんです。ポリフェノールはカカオ豆を発酵させる段階でも減るので、南米の産地へ行って、発酵から関与しました」。
2014年には、高カカオチョコレート摂取による、実証研究を行った。愛知県蒲郡市、愛知学院大学、明治による共同研究で、蒲郡市内外の45~69歳までの男女347人に、4週間、高カカオチョコレートを毎日一定量摂取してもらい、身体の変化を検証した。
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