「受信料だけじゃない」NHKと放送をめぐる議論 「公共放送」の存在意義をあらためて考える
NHKについて盛り上がるのは受信料、特にネットでの受信料についてだろう。だがウクライナ侵攻を通じてロシアのメディア統制を目の当たりにすると、私たちにとってちゃんとしたメディアがいかに重要かも考えてしまう。「公共放送」の存在意義をあらためて感じている人も多いのではないだろうか。
受信料の良しあしとは別に、NHKをめぐりいまどんな議論が起こっているのか、ここで皆さんにお伝えしたい。
今後の放送全体の在り方を議論
NHKに限らず、今後の放送全体の在り方の議論が総務省によって進められている。「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」で、昨年秋からの半年間で10回以上開催され、この手の検討会としては非常にスピーディーに議論が運んでいる。
その前身にあたる「放送を巡る諸課題に関する検討会」は2015年11月から2020年12月までかかりあまりにも歩みが遅かった。「諸課題」というが事実上、NHKの同時配信が題材で、この議論を経てようやく2020年にNHKプラスがスタートした。時間がかかりすぎて、日本の放送通信の融合が諸外国から大きく遅れてしまった。
それに比べると現在の「放送制度の在り方検討会」は実にスムーズ。何を議論しているかわからなくなっていった「諸課題検討会」とは違い、テーマも明解だ。民主主義の基盤たる放送の役割を、ネットの時代が進む中でどう果たせるか、民放とNHKセットで制度面を考えるのが議題。私なりに言うと、ネットに押されてしぼんでいく放送はどうすれば生き残れるかを話し合う場だ。
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