中高年社員の部署異動・転職「あり・なし」の分岐点 「今いる部署がツライ…」に人事の専門家は?
部署異動を希望するなら、その理由が重要になります。
「自分はこういう仕事をやっていて、こういう経験があるから、それを活かして、こういう仕事をしたいです」と言って異動願いを出すのは、全然「あり」です。
会社も社員にそういう行動を望んでいますが、言ったことには責任を持たなくてはいけません。異動して次のところでダメだったら、降格対象になります。中高年の場合は、黒字リストラの対象になることも覚悟しておかなければいけません。
それでも本当につらいのなら、ガマンしなくていいのではないでしょうか?
会社を辞めるのも1つの方法かもしれない
部署異動ではなく、会社を辞めるのも1つの方法です。あなたは何かしらの経験を持っているのですから、年収が下がることさえいとわなければ、転職先はあります。転職して活躍すれば、年収だって上がるかもしれません。
仕事がつらくて自殺してしまったという報道も少なくありません。こうした事件が起こるたびに、「だったら辞めればよかったのに……」と胸が痛みます。ガマンして悩みすぎて自殺してしまう。そんなことになってしまうのなら、他の場所を探すべきです。
今は昔とは違います、会社を移ってキャリアアップするのは当たり前の世の中です。中高年であっても、転職先はあります。日本では平均年齢が50歳になろうとしているのです。「50歳だから異動はできません」とか、「50代だから転職先はありません」なんてことはないのです。
人口減少が始まり、どの企業も人手不足で苦しんでいます。地方は特に人手不足が深刻ですから、Iターン、Uターンという選択肢だってあります。
本当につらいのなら、異動や転職を現実的に考えてみてください。部署や会社に縛られる必要なんてないのです。今までやってきたことを棚卸しして、自分は何ができるのか、何がしたいのか、しっかり整理して、異動希望をしたり、転職活動をしてみてください。
ただし、転職サイトの求人広告でよく見かける「転職で年収アップ」といったフレーズに惹かれて、安易に転職するのは勧められません。
これまで多くの転職者を見てきた経験で言わせていただくと、転職したからといって、必ずしも年収が上がるとは限りません。もっとはっきりいえば、年収アップを転職の目的にすると、失敗する可能性が高いです。これは中高年に限った話ではありません。
なぜなら、企業側のニーズと、転職者のニーズが100%マッチすることはまずないからです。年収アップを目的にすると、会社側が求めるニーズと、自分自身が求める方向性が大きくズレてしまい、長く続かないという事例が本当に多くあります
転職するなら、年収ではなく、「自分が本当にやりたいこと」を優先してください。年収を下げてでもやりたい仕事をすることが、転職を成功させる秘訣です。