「働かないのに給料がいい」人はなぜ存在するか あなたのパフォーマンスに給与は見合ってる?

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「仕事ができないのに給料がいい人」がいるのは、会社の仕組みがそうなっているからです(写真:mimi@TOKYO/PIXTA)
人事コンサルタントとして、1万人以上のビジネスパーソンの昇格面接や管理職研修を行い、300社以上の企業の評価・給与・育成などの人事全般に携わってきた西尾太氏による連載。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボにより一部をお届けする。

給与とパフォーマンスが一致していない

コロナ禍以前から増えてきた、45歳以上の早期退職・希望退職という名のリストラ。その候補となっているのは、パフォーマンスより年収が高い人です。それはどういうことなのか、詳しく説明しましょう。

年功序列の企業では、勤続年数が長い人ほど給与が高くなります。40代から50代は、最も給与水準が高くなる層です。もちろん年収1000万円の人が1000万円の価値を出しているのであれば、何の問題もありません。給与とパフォーマンスが一致していれば、45歳でも50歳でもリストラされることはありません。

ところが、年功序列の企業では実力とは関係なく、ただ会社に長くいるだけで給与が自動的に上がっていきます。すると、どうなるのでしょうか?

年収1000万円をもらっているのに、400万円の価値しか出していない。そういう人たちが増えていきます。そのうえ、40代、50代は人口のボリュームゾーンです。最も人数が多い世代に、最も高い給料を出していたら会社は潰れてしまいます。

アルファポリスビジネス(運営:アルファポリス)の提供記事です

パフォーマンスに見合わない、高い給料をもらっている中高年が多い。これが近年、企業の重石となってきたのです。

「じゃあ、その人たちの給料を下げればいいじゃん」

そう思う人もいるでしょう。そうなんです。400万円の価値しか出していないのなら、年収も400万円にすればいい。年功序列をやめて、価値に応じた給料にすればいい。それだけの話です。なにもリストラする必要なんてないのです。

実際、年を取ったら給与が高くなる「後払い」の制度を廃止して、成果や行動に応じた「時価払い」の制度にする企業が増えています。年功序列については給与だけでなく、現在はあらゆる場面における弊害が指摘されています。グローバル化、外国人の活用、テレワーク、DX、同一労働同一賃金など、近年の潮流とも相容れません。

しかし、多くの企業はそれができません。長く続いてきたシステムを変えるには、時間も手間もかかります。だったらリストラしたほうが手っ取り早い。だから45歳以上の早期退職・希望退職を募り、中高年をリストラする企業が増えているのです。

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