花王「アタック」34年も洗剤首位に君臨できる理由 洗濯機、衣類の大変化に向き合い進化を怠らない

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花王の洗浄センターでは、さまざまな洗濯機で汚れ落ちを検証している(写真:花王)

この商品から花王は「液体洗剤」を強く打ち出し、やがて洗剤市場も粉末から液体へと変わっていく。その「アタックNeo」に替わって登場したのが「アタックZERO」だ。

35年前の発売時から繊維質の汚れ落としに着目していた。専門的な表現になるが、研究開発の成果を「アルカリセルラーゼ」(のちに「バイオテックス」)と名づけた。この視点は現在まで続き、2019年の商品から「高い洗浄力」と「環境へのやさしさ」の両立をめざした洗浄成分「バイオIOS」を配合し、加えて今回の商品では、「バイオフィルム」形成抑制となっている。それだと消費者に伝わりにくいので「菌の隠れ家」としたのだ。

「新商品は発売日から改良対象」

衣料用洗剤は、各メーカーがしのぎを削る市場だが、消費者の満足度は決して高くない。例えば「靴下のニオイが取れなかった」など不満を持つ人もいる。「洗濯よりも、干す・取り入れる・たたむのが面倒。この作業も全自動でやってほしい」という本音も聞いた。

花王社内には「新商品は発売日から改良対象」という言葉もある。新商品の発売は製品開発としては1つのゴールだが、消費者の満足に応える活動ではスタートだ。「これで十分」と思えば進化も止まってしまう。

1987年発売時の「アタック」、2001年の「アタック マイクロ粒子」、2009年の「アタックNeo」、2019年の「アタックZERO」。粉末から液体に変わり、パッケージも一新された(写真:花王)

「清潔で、美しく、健やかな毎日をめざす」――は、同社が過去に長年伝えたコーポレートメッセージだ。前述したアタックのブランド哲学「まっさらで気持ちいい清潔衛生」「ストレスなく前向きな気持ちになれる」もこの視点と同じだ。

これからも「消費者の声」と向き合いながら、どう訴求していくか。昭和・平成・令和と時代が進んでも「気持ちよく洗濯した衣服を着たい」人間の本質は変わらないはずだ。

高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?』(プレジデント社)がある。

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