将来は人の役に立つ仕事に就きたいと、大学では社会福祉を専攻。特待生であり続けるために、勉強の手を緩めるわけにはいかない。一方、アルバイトは塾講師や家庭教師、パソコンのユーザーサポートなどを掛け持ち。間に合うよう授業終了5分前に席を立ち、駅までダッシュでアルバイト先へ駆けつけることもあった。学業とアルバイトの両立で精いっぱいの大学生活だった。
資格取得の奨励制度
大学卒業後、就職したのはIT関連企業。就職によって、現在の林さんへつながる、1つの運命的な導きがあった。会社にはIT系はもちろん、中小企業診断士や社労士、簿記や英検、TOEICなど幅広い資格について、取得した社員に一時金や月次手当を支給する制度があったのだ。
「昇進や昇格は自分の思いどおりにはいかないけれど、資格なら自分次第で着実に取っていける」。林さんにとって、資格取得で給与がアップするとは願ったりかなったりの制度だった。
就職して最初の3年は、現場のエンジニアとして業務に追われ、資格の勉強をする余裕はあまりなかった。その後、本社勤務となり、研修や業務効率化のツール作成、全国の案件支援が仕事になってからは退社後の夜間や、出張時の移動時間などに勉強を進められるようになった。通勤中や昼休みの時間も、ひたすら勉強した。
多くの人がスマートフォンでSNSやゲームに時間を費やしている間、林さんはコツコツ、資格取得に向けて準備を進めたのだった。
最初は情報処理技術者試験などIT系の資格を取っていったが、次第に「もっと別の方面へ目線を広げ、取得を推奨されているほかの資格に挑戦してみよう」と考えるようになった。
そこでターゲットに定めたのは、販売管理・財務会計・給与計算といった基幹業務に関わる資格。基幹業務のシステム開発に携わる立場として、自身がこれらの業務そのものに精通すれば、お客様にとってワンストップで相談できる存在になれる。また、将来的に独立も視野に入れていたので、強みになる資格を手にしたいとの思いもあった。
そこで日商簿記や販売士の資格を取得したが、自身が苦手とする給与の分野にも精通するため社労士を目指そうと決心。社労士の合格率は年度によって変動するものの、だいたい6〜7%と難関資格の1つだ。
そのため、いきなり取るのは難しいと判断し、まずはビジネス実務法務検定と宅建士の試験で勉強のノウハウを身につけてから社労士試験に挑んだ。結果、2.6%という過去最低の合格率の年に見事、一発で合格。資格勉強のノウハウが身につき、その後もIT系やビジネス系の資格取得を続け、行政書士や中小企業診断士などの試験にも合格した。
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