180の資格取って「人生変わった」彼に起きたこと 「2年で副業が本業を上回った」元会社員の稼ぎ方

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2018年1月、厚生労働省はモデル就業規則を改定し、企業に副業・兼業についての規定を新設するよう促した。このタイミングで、林さんは副業を会社に申請。副業解禁だと大々的にうたう会社ではなかったが、就業規則に盛り込んだ以上、林さんの申請を拒むわけにはいかなかった。

会社の名刺にも、「社労士」の肩書を加えてもらったおかげで、名刺を見た本業のお客さんから「うちの顧問の先生が高齢なので、代わりにやってもらえないか」と相談された。それが社労士として初めてのお客さんになった。

あるとき、知人から「IT×社労士、ってほかにいないんじゃないの?」と言われた。林さんにとってこの組み合わせは当たり前すぎて、知人に指摘してもらうまで、それが強みになるとは思いもよらなかった。

確かに、多くの人が知るIT関連企業の名刺に、社労士資格をプラスしただけで副業のお客さんがついた。名刺で強みを「見える化」したのが功を奏し、その後も他社から引き合いがあって顧問契約が増えていった。

士業事務所の業務効率化やDX、資格取得など林さんの持つ知見やノウハウを伝える機会も増えている。写真はオンラインセミナーを開催中の様子。YouTubeでも『資格ソムリエ®︎はやしの「四角い頭を丸くする資格塾」』を始めた(写真:林さん提供)

だが、本業と副業の両立は大変だった。「本業は裁量労働制でしたので、仕事に影響のない範囲で移動中や昼休みに副業に従事できました。でもこの頃の、数少ない写真を見ると、顔がやつれているんですよね」。

本業のSEと副業の社労士を両輪で走らせつつ、ほかにもさまざまなタスクに対応しなければならない。朝から晩まで忙しく働いて、頭が爆発しそうになったが、それでも会社員という守られた身分は何よりありがたかった。

副業を始めて2年目に収入が本業を上回る

収入の心配をしなくてもいい会社員の間に、林さんは独立に向けた準備も進めた。「ホームページや事業案内のパンフレット、名刺などは仕事を広げるのに欠かせないツールです。独立してしばらくは、そのようなツールを整える時間が取れないと思ったので、会社員時代に力を入れて準備を進めました」。

副業を始めて2年目、副業の収入が本業を上回った。3年目にはさらに増え、本業の数倍となりそうな勢いになった。そのタイミングで会社を辞め、独立した。副業のころから「ITに強い社労士」として認知度を上げるタネをまいていたため、ホームページのお問い合わせ窓口経由や、人づての依頼などで仕事は順調に増えた。

もちろん想定外の事態もあった。数千人単位の企業グループの手続き代行を受託したときは、予定よりコストが膨らみ、入金されるまで資金繰りが大変だった。

何とか乗り切ってきたが、この件に限らず「いつも順風満帆というわけではありません」と振り返る。それでも独立してよかったと思うのは、自分自身で仕事をコントロールし、今後のキャリアも舵取りしていけるからだ。

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