元ボクサー社長が「毎日殴る」令和のパワハラ実態 パワハラ防止法が中小に適用も効果は「未知数」

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相手の会社にFAX1枚送ったら、その瞬間から相手は法的に拘束されます。最終手段みたいに捉える人は多いんですが、実はいちばん効力があって簡単なやり方である場合がほとんどと言えます。

――ほかにはどのようなやり方があるんでしょうか。

今野:自分1人で会社に申し入れをする、という手段を取る人も多いんですが、これは無視されたらおしまいなんです。法律上、話し合いに応じる義務がないので。だからこそ、団体交渉が有用というわけです。

あとは、行政を間に入れて企業に話し合いの場を持つように言ってもらうというやり方もありますが、こちらも同様に無視されたらおしまいです。もちろん、訴えを起こしたことによって職場でさらに苦境に立たされるかもしれません。そういう面で腹を括らなきゃいけない部分はあるんですが、そのリスクはどのやり方でもそう変わらないのかなと。

結局、強制力のある交渉をするには労働組合に入って団体交渉するしかないんです。そしてどの場合でもですが、交渉が決裂してなお闘い続ける意思があるのであれば、ストライキをしたり裁判で争うという形になるかと思います。

――こういった有効な対処法が知られていくことも、被害者の心のケアになる部分もあるかと思います。

今野:そうですね。うまくいった実例が増えると、それに続く人も比例して増えていく。そういう意味でも、この記事の発信も重要なものになるかと思います。

ストライキは「ほとんど勝てる」

――次に、ストライキについて伺います。この国ではまだまだストライキが交渉手段であるという認識自体が広まっていないように思います。法律で権利が認められた行為なのに、どこか「態度のでかいサボり」くらいに思っている人も多いのでは、という。

今野:そうですね。最近でも、花畑牧場の従業員によるストライキが取り沙汰されました。申し上げておきたいのは、我々の関わるものだけでも月に数件ペースでありますし、ストは何も珍しいものではないんだということと、やればけっこう勝てますということです。

――「けっこう勝てる」くらいのものなんですね。

今野:適切に準備をしていれば、効果は絶大です。私たちが関わったものに限って言えば、ストを起こしても要求が通らないということはほとんどなかったと言っていいレベルです。それくらい権利が認められた行為だということは知られてほしいですね。

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