現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
「正直、もう働きたくありません」
就職氷河期世代のハルキさん(仮名、45歳)は今まで「まともな働き口」に出合ったことがない。深夜までのサービス残業に一方的な減給、パワハラ、即日解雇──。10社以上の会社で働いたが、手取り20万円に届かない非正規雇用がほとんどだった。採用時の条件が実態とかけ離れた“求人詐欺”に遭ったこともある。いわゆる“ブラック企業”を転々とするなかでメンタルを病んだ。
「正直、もう働きたくありません」
ハルキさんはそう本音をこぼす。そして怒りを抑えるように続けた。「社長や経営者には、専門の資格や免許を取得させるとか、定期的に講習を受けることを義務づけるとかすべきです」。人を雇うからには、まずは労働関連法やハラスメント防止を学べというわけだ。
ハルキさんが渡り歩いてきた悪質企業の中でも、昨年クビになった会社は特にひどかったという。ハローワークで見つけたマンション管理の仕事。求人票の雇用形態に正社員とあったので迷わず応募した。
トピックボードAD
有料会員限定記事
ライフの人気記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら