「まともな会社で働いた事ない」45歳男性の闘争 深夜残業に一方的な減給、パワハラ、即日解雇…

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ハルキさんの話を聞きながら、非正規雇用の増大は働き手の身分を不安定化させるだけでなく、順法精神に欠けた経営者や、働き手同士の不毛な対立を生み出すことにつながっていると感じた。実際、非正規労働者を「雇用の調整弁」という趣旨を逸脱し、「使い捨ててもいい労働力」と勘違いしている経営者は少なくない。また、同じ職場で同じような業務を担う正社員や契約社員、派遣労働者らが、身分や賃金水準の違いゆえにギクシャクする場面があることも事実だ。

「日本では解雇が難しい」などと言う人もいるが、取材をする限り、そんな実態はない。持論になるが、業務が継続して存在する場合、働き手は原則無期雇用契約とするべきだ。そのほうが働き手は安心できるし、企業の利益や業務の効率化にもつながるのではないか。

「今度ばかりは泣き寝入りしたくない」

ハルキさんのことに話を戻そう。地方都市で働くことに見切りをつけたハルキさんは実家に戻る。そしてようやく見つけたのはマンション管理の仕事だった。

また泣き寝入りするしかないのか──。クビになった日は、どうやって帰宅したかもよく覚えていないほど落ち込んだ。一方で「今度ばかりは泣き寝入りしたくない」という思いも湧いてきたという。

ハルキさんはまず個人加入できる地域ユニオンに相談した。団体交渉を重ねたものの、解雇予告手当などの支払いを求める話し合いは難航。ユニオン側の担当者から「『外注』と言われた経緯がある以上、(業務請負でも)仕方がないのでは」などと弱気なことを言われたため、労働組合を通した話し合いに見切りをつける。

続いて弁護士に相談するとともに、労働基準監督署に申告。会社では上司の指揮命令に従って仕事をし、出退勤時にはタイムカードを打刻するなど「労働者」として働いていたことを示す詳細なメモを作成して提出した。これにより、行政側が「請負業者ではなく、労働者」というハルキさんの主張を全面的に支持してくれたという。

交渉は1年近くかかったものの、最終的には未払い賃金などに相当する約200万円を勝ち取ることができた。ハルキさんが初めて悪質企業に反撃し、一矢報いた瞬間だった。

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