表舞台から忽然と姿消した「ウイスキー」復活の訳 70年代には蒸留所が2000以上から2カ所に減少
前身はアイルランド最古といわれるブルスナ蒸留所。歴史に翻弄され、1953年に閉鎖。1989年にジョン・ティーリングが購入し、2007年からウイスキー造りを再スタート。『ウイスキーバイブル』著者のジム・マーレイいわく「キルベガンを見ずしてウイスキーを語るなかれ」。小さい蒸留所ながら個性的なウイスキーを製造。
キルベガン
クーリーで蒸留した一部原酒をキルベガンの貯蔵庫で熟成させ、またキルベガン蒸留所の原酒も使用。フルーティでライトな口当たりのブレンデッドウイスキー。
「ジェムソン」に次ぐ世界的人気の「タラモアデュー」の蒸留所。1954年に閉鎖後、スコッチウイスキーのウィリアム・グラント&サンズ社の傘下に入り、2014年に最新式の連続式蒸留機やポットスチル6基を導入して再始動。モルト、グレーン、ポットスチルの3タイプを製造。
タラモアデュー
モルト、グレーン、ポットスチルの3種をブレンド。原料大麦の穏やかな風味がいきているユニークなウイスキーで、すっきりとして飲みやすい。
注目の最新アイリッシュウイスキーと言えば?
上記5カ所の定番蒸留所に加え、今、味わうべき注目の3つの蒸留所を選んでみました。いずれも最近日本で扱いの始まった新鋭ブランドです。
まずは“アイリッシュウイスキーの革命児”であるジョン・ティーリングの息子たち、ジャックとスティーブンのティーリング兄弟が2015年にダブリンにオープンしたティーリング蒸留所。1975年にダブリンのウイスキーの窯の火が消えて、40年ぶりの復活です。そしてティーリング家にとってルーツといえる、ダブリンという地にも意味があります。目指しているのは、伝統的なアイリッシュウイスキー。とくにポットスチル・ウイスキーに力を入れています。
「ティーリング シングル・ポットスチル」
大麦の麦芽50%、未発芽の大麦50%を使い、3回蒸留。新樽とワイン樽、バーボン樽で熟成させたものを、ブレンドさせたもの。アロマは軽やかでフレッシュ、穀物やシトラスを思わせます。パティシエの工房に入ったような、フローラルな中にさまざまなフルーツやケーキの香りを感じます。ライトで、シルキーな口あたり。