表舞台から忽然と姿消した「ウイスキー」復活の訳 70年代には蒸留所が2000以上から2カ所に減少

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アイリッシュウイスキーの種類と製法の特徴とは?

アイリッシュウイスキーには大きく分けて4種類があります。

●モルト・ウイスキー

大麦麦芽100%使用。単式蒸留機で2~3回蒸留。“シングル”と付くと、1つの蒸留所で、原料からフィニッシングまで、すべての工程が行われたものを指します。

●グレーン・ウイスキー

トウモロコシなど、さまざまな穀物を使用。連続式蒸留機を使用。

●ポットスチル・ウイスキー

アイリッシュウイスキーにしか存在しないウイスキーで、大麦素材に加えて未発芽の大麦やオート麦などを混合。単式蒸留機(ポットスチル)で一般的には3回蒸留。

●ブレンデッド・ウイスキー

モルトの原酒やポットスチル原酒、グレーンの原酒をブレンドしたもの。

ティーリング蒸留所のシングルポットスチル(写真/椙本裕子<【Q6】、店舗>)

アイリッシュウイスキーのいちばんの特徴は、“ポットスチル・ウイスキー”の存在でしょう。この蒸留法が生まれたのは、19世紀初頭に導入された「麦芽税」がきっかけ。高い「麦芽税」の網の目をすり抜けようと、麦芽の代わりに、未発芽の大麦や小麦、ライ麦、オート麦を混ぜて仕込む方法を生み出しました。いわば、高い税からすり抜ける、苦肉の策。

けれどこの方法では100%大麦麦芽のモルト・ウイスキーに比べ、仕込みが難しく、雑味が出やすい。そのため、蒸留を3回行う技術が発展していきました。この原酒の存在により、アイリッシュウイスキーは19世紀半ばから20世紀にかけて、全盛期を迎えるのです。

1880年頃にはアイリッシュウイスキーの蒸留所は28カ所が稼働。一方スコッチウイスキーは129カ所。蒸留所数こそ、スコッチウイスキーに負けているものの、アイルランドの蒸留所の中にはスコットランドの数倍の規模を誇るところもあり、生産量は迫る勢いだったとか。当時、アイリッシュウイスキーは世界のウイスキーの4割近くを占めていました。

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